カルラディア帝国戦記 プロローグ前編


無限に広がる大宇宙…

静寂な光に満ちた世界…

生まれてくる星もあれば、死んでゆく星もある…

そうだ…宇宙は生きているのだ…


母なるマゼラン、遠き故郷

今は懐かしきあの星雲に在る"ガミラス"

彼の星を離れて、もうどれ程が経つだろか……

マティウス殿下との約束…「民に寄り添った政治」

この私に出来るのだろうか……

いや、もうその様な次元の話ではない…

私が、やらねばならぬのだ

それこそが、殿下への最大の手向けになると信じて……

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2140年代後半、ランクルス・ヴェム・デスラー大公時代に、作られた組織"国家保全機構"

それは、行き過ぎた純血主義者や保守過激派を内政から隔離する為に作られた形だけの組織であった……

2155年にランクルスが一線を退き、息子であるエーリク・ヴァム・デスラーに政が移ると流れは変わり始める。

彼は国家保全機構所属の人員に目を付けたのだ。

内政から隔離された存在と言えど彼らの能力は本物。その活用法を模索し、遂には見出したのだ。

その活用法とは"新天地の探索"

滅びを定められし星ガミラスは、着々と崩壊への時計を進めている。

2158年、エーリク大公は彼らに第2の故郷と成り得る星を見つけ出す任務を与え「セカンドオーダー」と名を改め、組織の運用を開始した。

一方でエーリク大公には、'最早混血もやむなし'と云う考えがあり、それまでのガミラスの政策とは打って変わり、2等臣民や非純血主義者との融和政策を進め始めた。

2168年、エーリクの融和政策は一定の成果を得ており、成功と言っても過言では無かった。それを受けエーリクは、遂にセカンドオーダーの改革に着手する。2等臣民や非純血主義者を組織に配属したのだ。

しかし、そんな状態を、保守派が主力であるセカンドオーダーが受け入れる筈も無く、組織内で強い反発を呼んだ。

2175年、融和政策実施から7年余りが経ったある日、セカンドオーダーの保守過激派よる暴動未遂事件が発生した。

この事件を受けて、セカンドオーダーの反乱を危惧したエーリク大公は、若干17歳にして政権幹部や軍部・臣民から広く信頼を得ており、既に次期大公として名高かったマティウス・デスラーをセカンドオーダーの"特別顧問"として、そして彼の側近であった私、ロドルフ・クルークがセカンドオーダーの"大将軍"として就任した。

私達の様な者が突然割り込んでくれば今まで以上に強い反感を呼び、最悪の場合はその時点で武装蜂起といった事態も考えられた。しかし大公は、私たちが組織内の過激派を抑えられると信じていた…

その信頼を知ってか知らずか、私たちは確かに仲間を増やしていた。我らの行いに反対していた者たちにも根気強く訴えかけ理解を求め、地道に支持を得ていたのだ…

だと云うのに、どうしてあの様な事になったのか……


ー後編へ続く

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