第5話 国と民
国内で様々な事が進められる中、海賊艦隊と戦闘の有った宙域を調査していた第二艦隊第二一駆逐戦隊が、未知の技術を使用する敵艦と遭遇。
これを巧みな戦術で拿捕し、本国へ移送する事に成功したのだった____
ーーーアジトーーー
海賊代表「我々の艦体が壊滅しただと…!」
海賊副代表「辺境の弱小国家の筈では無いのか!」
海賊「帰還してきた旗艦含めた複数艦を除き、艦隊は壊滅、残留していた次元艦も通信が途絶しています…」
海賊「ポルトメルシアで追い返す事が出来たのが、最早奇跡だったのでは…」
海賊代表「ッ……!!」
海賊副代表「■■■国の使者よ、今一度貴国のお力をお貸し願えないだろうか」
工作員「馬鹿も休み休み言え!役立たずと言われた元兵士の貴様達にどれだけ施しをしたと思っている!」
工作員「兵士としても海賊としても三流の貴様等に、我が国が危ない橋を渡ってまで支援してやったのは、貴様等があの宙域を知り尽くしているからだと豪語したからでは無いか!!」
工作員「貴様等の言葉を信じ、最後の情をかけてやったにも関わらずあの惨敗、何とも嘆かわしい限りだな?そうは思わないか?」
海賊代表「………」
工作員「皇王陛下は既に貴様等を見限られた。以後、我が国から貴様等への施しは無いと思え。」
海賊代表「お、お待ち下さい!!我らに策がございます……」
工作員「ほう?それは、此度の失敗を覆せる程の物なのか?」
海賊代表「無論です…。しかしながら時間が入ります。一度、私の方から皇王陛下へ上奏を賜りたく…」
工作員「良いだろう、時期が整い次第こちらより使者を遣わす。」
海賊代表「ありがとうございます……」
海賊達は、先の戦闘での敗戦について、何者かの国家より叱責されている状態だった…
彼等に残された道は無く、今は力を蓄え、時期に備えているのであった____
ーーー惑星ヴィルディア 首都クルクラシアーーー
カルラン暦元年3月26日
彼ら旧セカンド・オーダーがヴィルディアへ入植してから2ヶ月が経過していた……
この日、内務卿マリウス=トイアーは帝都の開発状況の報告の為、総統臨時官邸総統執務室を訪れていた。
クルーク「この星に入植して2ヶ月余り、帝都は着々と都市化が進んで居るようだな。」
トイアー「はい。帝都開発に併せ、地方の開墾計画も総統府麾下の交通省・総務省の合同で進めている状態です。」
クルーク「素晴らしい!早く完成した帝都を見たいものだ!」
マリウス=トイアー内務卿の率いる総統府とシュルーフタ・ユーヴァニ交通大臣率いる交通省、そしてアルノルフ・ヴァルター総務大臣率いる総務省の3組織が合同で地方開墾計画を進めており、徐々に居住可能域を広げている状態だった。
クルークへの開発状況の報告を続ける中、突如として帝都全域へ非常警報のサイレンが鳴り響く。
クルーク「何事だ!」
幹部「お話中に失礼致します!!緊急事態です。クルクラシア近郊に大型不明生物接近中、敵性生物の可能性大!現在、帝都第6開発区画へ向け進行中との事!」
トイアー「第6開発区だと!?」
幹部「偵察部隊の報告によると、目標の予想進路は帝都中心部。此処との事!!」
クルーク「何だと!トイアー、陸軍へ出動要請だ!」
トイアー「はっ!直ちに!」
トイアーの指示により帝国陸軍が出動する事となった。
敵性生物出現時より即応体勢を整えていた陸軍は、速やかに第6開発区画へ向け進発。
展開する陸軍部隊の中には、急遽投入された新型主力戦車"ルバリアス"の姿も有った……。
宇宙軍に対し部隊整備の遅れていた陸軍支援の為、宙軍陸戦隊にも出撃命令が下る。
臣民へは非常事態宣言を発し、各地区所定の避難所へと即時避難が行われた____
隊員「ルバリアス三両及びサルバーS−IV型戦車八両、配置完了!」
隊員「砲兵隊及び各歩兵部隊配置完了!」
指揮官「CPよりHQ。各部隊の展開完了、以後の指示を待つ。送れ」
トイアー「HQよりCP。先程総統より目標への攻撃許可が降りた。第6開発区画の民間人の退避は完了し既に無人だ。速やかに駆除されたい。送れ」
指揮官「了解。これより防衛計画に則り目標へ攻撃を開始します。おわり」
出動要請のあった陸軍及び陸戦隊の部隊配置が完了し、攻撃の許可が降りたことで、全軍への攻撃命令が下された。
指揮官「CPより各隊、攻撃許可が降りた。状況開始、繰り返す、状況開始」
CPからの命令を受け、各隊が作戦行動に入る。
隊員「敵性生物捕捉!」
指揮官「戦車隊へ伝達"即時攻撃の要を認"」
隊員「はっ!」
部隊員「CPより無電!"即時攻撃の要を認"です!」
部隊長「よし、新型の性能をお見舞いしてやる!全車、試射用意!」
部隊員「目標、進路・速度変わらず。距離二五〇〇、全車照準合わせ………照準良し!」
部隊長「撃ーー!!」
CPからの指示を受けた戦車部隊長が、展開している全11両に砲撃指示を下す。
新型戦車は従来のサルバーS-VI型戦車に代わり砲身が2門と数が減ったものの、その分口径が大きくなった事で威力が上がり、絶大な破壊力を得ることに成功していたのであった。
部隊員「初弾命中!目標、被害軽微!」
部隊長「全車、効力射!目標に撃ちまくれ!!」
指揮官「戦車隊は大分気合が入っているみたいだな」
隊員「何しろ"あの"新型のお披露目ですから」
指揮官「まぁ、気が昂るのも判るな。戦車隊の状況を見つつ、砲兵隊に射撃用意を指示せよ」
隊員「はっ!」
部隊員「目標の表皮は想像以上に硬いようです、明確な損害は片腕を落とした程度で…」
部隊長「目標との距離は」
部隊員「距離一八〇〇、進路・速度は依然変わらず!」
部隊長「進行速度から考えても潮時だな。CP、こちら戦車隊。目標は射撃限界へ近づきつつ有り、攻撃を砲兵隊へ切り替えられたい送れ、」
CP『CP了解。戦車隊は速やかに後退、最終的防衛ラインにて待機せよ。おわり』
部隊長「各車、後退!最終防衛ラインへ転換する!」
新型戦車を含む11両の戦車隊は、目標への砲撃を中断し、規定の最終防衛ラインへ後退を進める。
戦車隊の後退開始と同時に、砲兵隊隊からの攻撃が始まった。
迫撃砲や対戦車砲やミサイル等の装備を用いて攻撃を加えた砲兵隊は、目標の弱点を見出す事に成功した。
目標の弱点、それは"口内"であった。
情報を受けたCPから、転換の完了した戦車隊へ連絡が行き、口腔内への一斉砲撃が加えられることとなった。
生物というのは、弱点が見つかると脆い物で、再攻撃開始から目標の駆除までは30分と掛かる事なく、その戦闘は無事終了したのだった……
指揮官「CPより各隊、対象の沈黙を確認。状況終了、撤収せよ。尚、当該目標の死骸については、政府が別途回収班を手配する事になった。以後の対応は陸警隊へ引き継ぐ。おわり」
回収された死骸は、経済産業省管轄の科学技術庁へ周され、解剖が行われる事となった…
解剖の結果を受け、以後も脅威になり得ると判断した総統は、陸軍を動員、この巨大生物は1ヶ月の内に絶滅へと追い込まれたのであった____
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カルラン暦6年1月15日
時が経つのは早く、彼等旧セカンド・オーダーがヴィルディアに入植してから、既に5年の月日が流れていた………
ーーー第9惑星ハーデッシュベルトーーー
カラーディ星系の9番惑星であるハーデッシュベルトは、技術研究惑星として開拓が進められる中、引き続きイスカンダル型コアの研究と5年前に拿捕した海賊次元潜航艦を研究していた……
ヴァエト「いつ見てもすごい技術だな、この馬鹿でかい箱だけで次元断層を行き来できる力があるとは。この技術を確立出来れば我らに敵無しと云った所だろう…」
研究員「課長!亜空間ケーブルという特殊ケーブルの技術獲得が完了しました!」
ヴァエト「亜空間ケーブル……元からついていた特殊ケーブルの事か。どういう使い方をするのだ?」
研究員「まだ全てが判っては居ないのですが、内務卿より直接の指示があり、最優先で研究しろと……」
技術開発課課長「内務卿直々にか?まぁ良い、獲得できたのならあとは研究を進めるだけだ」
研究員「はっ!」
トイアー「誰か僕の噂をしていたかな?」
ヴァエト「内務卿!実は、この亜空間ケーブルの使い道が判らず…。無論研究は続けているのですが……」
トイアー「"目"だよ」
研究員「…"目"、ですか?」
トイアー「そうだ、”目”だ。我々は今、次元の狭間に潜る艦を作ろうとしている。そこは通常の宇宙とは別の空間だ。別の空間だということは、間に壁があるも同然。敵や味方の動きをどうやって見る?」
ヴァエト「…!そうか!通常空間に観測用の装置を残し、それを亜空間ケーブルで接続すれば潜層状態でも外の様子が見える…!」
研究員「つまり…潜伏からの奇襲だけでなく、潜伏したまま攻撃が可能ということですか!」
トイアー「そうだ。潜層状態での攻撃は、おそらくあの海賊ですら実現していない...我々が銀河最先端になれるかもしれないぞ…!」
ヴァエト「総統閣下はそこまで見越しておいでだったとは…」
この頃のカルラディア帝国は、帝国軍麾下の技術開発局と総統府麾下の科学技術庁がそれぞれに機関の改修を進めていた。技術開発局はゲシュ=タム機関を、科学技術庁はゲシュ=バム機関をもとに改良型機関の研究を進めている。
2192年、科学技術庁はゲシュ=ネル機関を開発。しかしこの機関は、ワープの度に次元断層に落下してしまう「ポンコツ機関」であった。
そこに利用価値を見いだしたのが総統ロドルフ・クルークである。「次元の狭間に潜る海賊船」の報告が上がったときから、次元潜航の実現を目論んでいた。
トイアー「ところで、箱の研究はどうなっている?」
技術開発課課長「順調です。もうすぐ”宙ぶらりん潜伏”も終わりにできますよ!」
トイアー「そうか!それは待ち遠しい。ただしきちんと戻って来られるように頼むぞ?」
技術開発課課長「もちろんです!」
「箱」とは多次元位相バラストタンクのことである。拿捕した海賊船に装備されており、どうもこれで潜航・浮上を行っているようなのだ。
技開局はこの超技術の研究に相当苦労しており、二年前に試作したものは半潜航行(軍の者は"宙ぶらりん潜伏"と呼んでいる)しかできないものであった。
この二年間、帝国軍は半潜航行に合わせて改良した「半潜用改ゲシュ=ネル機関」と「試作多次元位相バラストタンク」を装備した潜層実験艦を運用してきた。
しかしその段階もまもなく終わりを告げる。機関、タンク、ケーブルともに研究は最終段階であり、導入が秒読み段階である。
ーーーヴィルディア、総統執務室ーーー
トイアーがハーデッシュベルト軍研究所を訪問して居る合間、シュティーア・シャーフが総統執務室にて、軍に関する重要な報告をしていた。
シャーフ「総統閣下、この度は私の為にお時間を頂き…」
クルーク「そういうのは要らんよ、私と君の仲だ。それに、ここには私達しか居ない。」
シャーフ「ありがとうございます。早速ですが、私の方から2点報告が」
クルーク「聞こう。話してくれ」
シャーフ「はっ。まず、閣下よりご指示のありました、”新型戦艦”についてです。こちらは設計が完了し、既に建造を開始致しました。」
クルーク「何と!本当か!」
シャーフ「はい。つい先日開始し、2年後には完成・就役が可能と見込みが立っております。又、既に解析の完了したイスカンダル製コアも、試作品第1号が完成し、出力も申し分無く、予定通り新型戦艦へ搭載される予定です。」
クルーク「そうかそうか、それは素晴らしい。しかし、純イスカンダル製コアは搭載しないのか?」
シャーフ「それについてなのですが、2点目のご報告と併せて失礼します。」
クルーク「うむ」
シャーフ「この度、我が技術開発局は現行のロドルフィアに変わる新型の総統座乗艦の設計を完了致しました。」
クルーク「なんと!本当か」
シャーフ「はい。我々は便宜上”ロドルフィアⅡ世”と呼称しています。」
クルーク「ロドルフィアⅡ世か…。良い響きだ……。それで、そのロドルフィアⅡ世に純正コアを搭載すると言うことかな?」
シャーフ「その通りです。我が方で造ったコアよりも超大な出力を持つイスカンダル製コアを搭載し、その圧倒的な力を持って軍を率いる…。我が国に於いて絶対的な権力を持つ総統に相応しい力かと」
クルーク「私の権威を示す上でも有用と云う事か……」
シャーフ「建造は、閣下からの承認を頂ければ今日直ぐにでも開始できます。ご認可いただけますでしょうか?」
クルーク「無論だ、シャーフ君。最優先で頼みたい」
シャーフ「はっ!建造は、新型戦艦の1番艦と同じくハーデッシュベルト建造工場で行います。お時間がありましたら、相当も是非ご視察へい越し下さい。」
クルーク「判った。君は…どうするのかね?」
シャーフ「当面私はハーデッシュベルト建造工場で、新型戦艦とロドルフィアⅡ世の建造の指揮を行う予定です。…本星を開けるのは忍びないのですが……。本星での艦艇建造指揮等は副局長に一任致します。」
クルーク「承知した。しかし、なぜハーデッシュベルトなのだ?」
シャーフ「ハーデッシュベルトは、既に技術研究惑星として開拓が進められており、あそこであれば万が一の事態にも対処が容易であるからです。本星で事故などを起こした暁には被害が想定できませんので…」
クルーク「なるほど…、委細承知した。時が来れば視察に行こう。」
シャーフ「お待ちしております。…報告は以上ですので、私はこれにて失礼致します。」
そう言い、席を立とうとしたシャーフをクルークが静止した。
何でも、国営放送で今日面白い物が放送されると言うのだ。
クルーク「もうすぐ時間だ、少し付き合ってくれ」
シャーフ「閣下が仰られるのであれば、お断りはできませんね。お付き合い致します。」
そう言ってシャーフが改めて着座すると、クルークは執務室に備え付けられていたモニターの電源を付け、チャンネルを併せた。
そこに写っていたのは、民間人へのインタビュー映像であった____
ーーーヴィラーディーーー
アナウンサー「本日はヴィラーディ地方に来ています。 ここヴィラーディはつい2年程前に開拓が完了し、今は農産地として発展を始めています。それでは、こちらの農村に住んでるコルツ・ナタリウスさんにお話を伺いたいと思います。本日はよろしくお願いします。」
コルツ・ナタリウス「こちらこそ、よろしくお願いします。」
アナウンサー「早速なのですが、今は何をなされているのですか?」
コルツ・ナタリウス「ディリコンシュ(大根)の収穫ですね。」
アナウンサー「ディリコンシュですか!この野菜美味しいですよね。私大好きなんです!」
ナタリウス「私も大好きです!この国に住む人達に美味しい野菜を届けられる様に、日々作業しています!」
アナウンサー「そうでしたか、私達が美味しい野菜を食べられているのも、ナタリウスさん達のおかげですね!因みに、帝都クルクラシアとはだいぶ離れてますが、交通の便とかどうですか?」
ナタリウス「そうですねぇ…、建国した当初は何も無くて本当に大変でしたけど、今は飛行機や電車など様々な交通機関が整備されたのでとても快適です!」
アナウンサー「それは良かった!交通の便とかどんどん良くなってて政府様々ですね」
ナタリウス「はい、本当に政府いいだと思います。」
アナウンサー「税金とかはどうでしょうか?」
コルツ「さほど高くなく私の様な者でも苦では無いですね、補助金も定期的にあるので、想像されていよりも快適だと思います」
アナウンサー「そうなんですね!本日はありがとうございました。」
ナタリウス「ありがとうございました。」
アナウンサー「この様に、政府の様々な施策によって地方でも過不足無く生活が行われている様です!」
クルークの、ある種我儘で行われた国営放送のインタビューは、自然と政府への礼賛に繋がり、ある種のプロパガンダに近い物となってしまったが、この映像を受けたクルークを含む政府職員等は、国策の成功に安堵すると共に、次へ向けて気合を入れ直すのであった____
放送から6日後のこと……
アナウンサー「本日は本土防衛の要、『高出力陽電子砲台』の見学に来ています!えーこちらはですね、カルラン暦3年、つまり2年前に完成したものなのですが、公開はこれが初めて、ということになっているんですね。それでは本日お話をお伺いするのは、帝国軍技術開発局装備開発課副課長のファーブリック=ヴァッヘンドラーさんです!ヴァッヘンドラーさん、よろしくお願いいたします。」
ヴァッヘンドラー「はい、本日はよろしくお願いします」
アナウンサー「早速なのですが、目の前にありますこちら、非常に大きな装置なのですが、これは一体どう言ったものなんでしょうか?」
ヴァッヘンドラー「こちらはですね、砲台の電源装置になります。今私達が居ますのが地下およそ10mの地点なのですが、周囲を強固な壁で囲っておりまして、衝撃に強い構造の中に設置しています。」
アナウンサー「こちら、”高出力陽電子砲”と呼ばれている訳なのですが、どういった仕組みで出力の高さを実現しているのでしょうか?」
ヴァッヘンドラー「こちらはですね、単純に電源の出力をすべてこの砲台に回しているということです。通常の軍艦ですと、エンジンから生成されたエネルギーを艦内の照明や空調、そして多数の砲熕兵器の制御等に出力を割いている訳なのですが、この砲台はそれと同等の出力を1門の大砲に全て割いているわけです。そのため、従来の砲よりも威力を上げることができたと云う訳なんですね」
アナウンサー「なるほど。そしてですね、今この高出力陽電子砲に関して新たな試みが行われていると言うことで」
ヴァッヘンドラー「そうなんです。詳細は軍事機密故にお話しする訳にはいかないのですが、今、この高出力陽電子砲を艦艇に搭載出来るようにすると云った試みが行われているんです」
アナウンサー「艦艇に搭載!それは、実現すると防衛力向上に繋がりますね!完成が楽しみです!それでは、本日は"高出力陽電子砲台"初公開ということで現場からお伝えいたしました!ヴァッヘンドラーさん、ありがとうございました」
ヴァッヘンドラー「ありがとうございました」
この高出力陽電子砲、ガミラスでは後に反射衛星砲として開発される兵器である。
斯くして、カルラディア帝国の力はみるみると伸びていく...
高出力陽電子砲の一般へのお披露目から一週間、総統ロドルフ・クルークは軍令部中央作戦司令室に居た。
兼ねてより政府内にて計画されていた、ハーマリア星系領有化計画を実行に移す為である。
帝都クルクラシアの宇宙軍港では、メルトリア級メルトラーデンを旗艦とする第二艦隊が集結し、出撃の準備を整えて居た____
クルーク『第二艦隊の諸君、総統ロドルフ・クルークである。諸君等は、兼ねてより計画されていた、ハーマリア星系の領有化計画の先鋒に選ばれた。ポルトメルシアは海賊共の根城の可能性がある。そういった敵を迅速に殲滅し、速やかにハーマリアを抑え我が物とする事を切に願う。』
乗員「作戦発動の暗号を受信。」
デルニラッツェ「よし、全艦発進!ハーマリアへ向かう!」
艦長「機関始動、離床!」
宙軍中将クルルク・デルニラッツェを司令とする第二艦隊が帝都宇宙軍港を発進する。
その様子を、クルークは中央作戦司令室のモニターから眺めて居た、その胸中には、言い知れぬ不安が纏わりついていた____
第6話へ続く
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