-Side Story- イルシアとマリュリア 中編②「選択」

総統に呼び出され、マリュリアは総統執務室へ向かった。


マリュリア「お呼びでしょうか、総統閣下」

クルーク「いきなりすまんな。イルシアの外出の件で話があるのだ」

マリュリア「はい、、」

クルーク「条件付きにはなるが、イルシアの外出を許可しようと思う。」

マリュリア「っ!、ほんとですか!」

クルーク「あぁ。」

マリュリア「それで、その条件とは何でしょうか…?」

クルーク「警護にあたると云う特務隊がどれほどの実力を持っているのか私はよく知らんのでな、親衛隊の保安警察から何人か同行させる。これが第一の条件だ。次は、身の危険があれば即座に離れ、場合によっては外出を中止する事。最後の条件は日が暮れるまでに戻る事。この3つが外出に際する絶対条件だ。」

マリュリア「承知致しました。条件の遵守、お約束致します」

クルーク「彼女にとっては目新しい物も多くあるだろう。護衛自体は付けるが姉妹水入らずで楽しんで来ると良い。」

マリュリア「ありがとうございます、総統閣下!では私はこれで。失礼しました」


マリュリアは執務室を出ると、急ぎ足で部屋に戻った。

部屋に戻るとすぐ、イルシアと内務卿に事を伝える。


マリュリア「クラーラ!外行けるよ!」

クラーラ「本当ですの!」

トイアー「総統から許可が出たのだな。よかったよかった」

マリュリア「はい。ですが、親衛隊から数名同行させるように、と」

トイアー「おぉ、親衛隊か。なら特務隊の強さを見せつけるいい機会にもなる、彼らにも頑張ってもらわないとな」

マリュリア「特務隊の方はお任せください!じゃあクラーラ、支度しててっ」

クラーラ「わかりましたわっ!」

マリュリア「内務卿、少し会議室をお借りします」


マリュリアは大きめのバッグと通信器を持って会議室に入った。

会議室に入ると、窓のカーテンを閉め、部屋の全ての扉に鍵をかけた。

通信器を起動し、本部と交信を始める。


マリュリア・通信器「(内容)SH、こちらハル1。緊急任務通達。期間、東市場まで行き総統府へ帰るまでとする。対象者、クラーラ・アルーシャ。通常の服装にてレベル3であたれ」

本部・通信器「(内容)ハル1、こちらSH了解。全員に通達。以下中略。健闘を祈る。」


マリュリアはバッグから短機関銃を取り出した。弾倉は5つ。サイレンサーを銃口にはめ、バッグに戻す。

マリュリアはカーテンと鍵を開け、部屋に戻った。


マリュリア「戻りました」

クラーラ「お姉ちゃん!準備できましたわ!早く行きましょう?」

マリュリア「よしわかった!じゃあ行こうか」


マリュリアとイルシアは総統府の玄関口へ、手を繋いでスキップしながら向かった。内務卿も、その様子を眺めて笑みを浮かべながら、玄関口まで見送りに来た。

同時に三両の車列が到着した。

特務隊隊員はマリュリア含めて七名、親衛隊員が三名、それにクラーラの計十一名である。


マリュリア「それでは内務卿、行って参ります!」

トイアー「うむ、二人とも楽しんでくるんだぞ」

クラーラ「ありがとございます、行ってきますわ!」

トイアー「気を付けて行ってらっしゃい!」

マリュリア「じゃあクラーラ、行こっか♪」

クラーラ「はいっ!」


二人が車列中央の車両に乗り込むと、車列は東市場に向かって出発した。

少しして特務隊が無線機を使い、部隊内で通信を始めた。


***

※ハル=特務隊コードネーム

車列

1号車 ハル2、ハル3、ハル4、ハル6

2号車 ハル1(マリュリア)、イルシア

   ハル5、ハル7

3号車 警備隊警護班3名

***


ハル6「今回は警護する必要あるんすかね?」

ハル2「仕方ないだろ。上層部からの命令らしいのだから」

ハル4「それにしても…隊長の妹さん、一体何者なんだろうな」

ハル6「それ気になるよな…東市場も比較的安全な場所だ、なのにこんな大勢で警護するのは変な感じだ」

ハル2「まぁ考えるだけ無駄だろ、上の意向なんだから」

ハル6「あとなんで親衛隊の奴等と一緒なんだ」

ハル4「確かにな。俺等の事疑ってんのかもな」

ハル1(マリュリア)「お前たち聞こえてるよ、」

ハル6「隊長!なんで親衛隊の奴等と一緒なんですか!」

ハル1「外に行く上での条件だったんだ。皆には迷惑かけたね、」

ハル2「何言ってんです、いつものことでしょうに」

ハル1「ははは、…訂正するよ、いつもごめんね。まぁ今回も私のわがままだよ、」

ハル3「対象者とは話させてもらえないんですかー」

ハル1「対象者とは仲良くならないほうが良いと教えたはずだけど」

ハル5「こいつらほんといつも騒がしいよな…」

クラーラ「お姉ちゃん、誰と話してるの?」

マリュリア「前の車に乗ってる人たちだよ」

クラーラ「この人達はだれ…?」


少し怯えている。


マリュリア「大丈夫だよ、クラーラを守ってくれる人達だからね」

クラーラ「守ってくれる人…なら少しお話したいですわ」

マリュリア「うーん…」

ハル7「いいじゃないですか隊長、楽しんでほしくて連れてきたのなら、好きにさせてあげても良いと思いますよ」

マリュリア「…わかった」


イルシアに小型無線機の使い方を教えて貸し与えた。


マリュリア「私は残業続きだから少し休むよ…」


マリュリアは車に揺られながら眠りに就き、イルシアは無線で遊び始めた。


―――数時間後―――


目的地の東市場へ到着した。


ハル7「隊長、到着しましたよ」

クラーラ「お姉ちゃん、起きてー?」


イルシアはマリュリアを起こした。


マリュリア「んーっ…ふわぁ…」

クラーラ「おはよ、お姉ちゃん!着きましたわよ!」

マリュリア「んー…ん!」

クラーラ「早く行きましょ!」

マリュリア「ちょっとまって、まだ出ないで〜。無線機どこだ」

クラーラ「あ、ここですわ。返しますのよ」


イルシアはマリュリアに無線機を返した。


マリュリア「ありがと」


ハル1「ハル1より全員に告ぐ、車外に出て警戒態勢で待機」


イルシア以外全員外に出た。


ハル6「レベル3ならば交戦規定は…」

ハル1「火器を所持していて、かつ発砲の可能性がある者のみ。ハル2、4は高所にて監視」

ハル2、4「「了解」」

ハル1「それ以外は一定の間隔を保ち警護にあたれ」

ハル3、5、6「「了解」」


マリュリア「よし、クラーラ。ごめんね待たせたね、降りていいよ」


イルシアも降車した。


マリュリア「さてと、行こっか!クラーラ」

クラーラ「はい!お姉ちゃん!」


マリュリアとイルシアは市場へ入った。


マリュリア「じゃあクラーラ、まずどこに行こっか?」

クラーラ「うーん、お姉ちゃんの行きたい場所に行きましょ!」

マリュリア「んーじゃあ、アクセサリーとか見に行かない?」

クラーラ「行きたいですわ!」


二人はアクセサリーが売っているお店へ向かった。


マリュリア「綺麗なの沢山あるな〜」

クラーラ「素敵な物ばかりですわねっ!」


奥から店主らしきご年配のお婆さんが出てきた。


店主「あら、可愛いお嬢さん方、何かお探しかしら?」

マリュリア「えぇ、おそろいのヘアピンとペンダントはありますか?」

店主「もちろんあるわよ。ちょいとお待ち」

クラーラ「楽しみですわね、お姉ちゃん」

マリュリア「そうだね♪」


少しして、ヘアピンとペンダントを持ってきてくれた。


店主「どうかしら、花形のヘアピンと、綺麗な金色のペンダントよ」

マリュリア「素敵っ!、試しに着けてみてもよくて?」

店主「もちろんよ」


マリュリアはヘアピンを身に着けてみた。


マリュリア「クラーラ、どうかな?」

クラーラ「とっても似合っていますのよ!」

マリュリア「うふふ、ありがと。クラーラも試しに着けてみる?」

クラーラ「はい!」


クラーラにヘアピンを着けた。


クラーラ「…どうかしら?」

マリュリア「可愛いっ!似合ってるよ!」

クラーラ「ありがとうっ!嬉しいですわ!」

マリュリア「一応ペンダントも着けてみましょうか」


二人はペンダントを身に着けてみた。


クラーラ「お姉ちゃん、とっても似合ってますわ!」

マリュリア「クラーラも似合ってる!かわいいよ」

クラーラ「えへへ〜」

マリュリア「じゃあこれにする?」

クラーラ「はい!」

マリュリア「おっけー!お婆さん、すみません、」

店主「はいはい、決まったかい?」

マリュリア「はい!このペンダントとヘアピンください!」

店主「じゃあお代金を…特別に半額にしてあげるわよ」

マリュリア「半額!?…流石に悪いですよ…」

店主「いいのよ、良いもの見せてもらったし」

マリュリア「いいもの??」


店主が二人の顔を見てにっこりと微笑む。


マリュリア「…ではおことばに甘えて…、」


マリュリアは代金を支払った。


店主「まいどあり!」

マリュリア「どうもありがとございました」

店主「いいえ、こちらこそ。またいつでもいらっしゃい〜」

マリュリア「はい!それでは…行こっか、クラーラっ」

クラーラ「わかりましたわ!」


二人はまた別のお店へ向かった。

そして色々なお店を回っている最中…


ハル2「全員へ、こちらハル2。進行方向十メートル程先に不審な人物三名を確認、警戒せよ」

ハル1「了解した、普通にしていれば大丈夫だろう。むしろ変に動くより良い。念の為、すぐ動けるようにはしておいて」


距離が縮まり不審者の姿が見えた時、クラーラの足が止まってしまった。


クラーラ「っ…えっ…」

マリュリア「どうしたの?クラーラ」


ハル2「ハル1警戒しろ!」

ハル6「行っちゃだめかっ!」

ハル5「やめろ!今は危ない…」


クラーラ「灰色の…肌……」

マリュリア「っ!」


ハル2「!駐留艦隊の奴等か!」

ハル4「撃ちますか?」

ハル2「だめだ、発砲は…相手が銃を出した時のみだ」


マリュリア「大丈夫、普通を装って。クラーラは今私の妹なんだからね」

クラーラ「はいっ…」


その時駐留艦隊の船員達がマリュリアに気づいた。


船員B「お嬢さん、少し俺等と一緒に来てはくれないかな?」

マリュリア「突然なんですか…」

船員A「荷物が少しあってな。運ぶのを手伝ってくれ」

マリュリア「ならば、私よりも男性に声をかけていただいた方が良いのではありませんか?他をあたってくださる?」

船員A「この女っ!」

船員B「追ちつけバカ。お嬢さん、素直についてきたら手荒な真似はしないぜ?」


船員は銃をちらつかせた。


ハル4「銃を確認、発砲は…」

ハル2「まだだ…」


マリュリア「お断りすると言っています。」

船員A「こいつっ!俺たちに歯向かおうってんのか!」

マリュリア「他を当たってください。力仕事なら私じゃない方がいいでしょう」

船員A「もういいっ!来い!」


船員はマリュリアの腕を掴んだ。


マリュリア「やめなさい!」


マリュリアは船員の手を振り払った。


船員A「なんだこの女、ふざけてんのか」

船員B「お嬢ちゃん、ちょっと痛むかもしれねーが、素直に聞かなかった自分を恨めよ?」


船員は銃に手をかけた。


ハル4「いいですか…いいですよね…」

ハル2「待て…どうせあいつらは撃てない」


クラーラ「…っ行きましょ…お姉ちゃんっ……」

マリュリア「そうだね行こっか」


船員達から離れようと歩き出した時、


船員B「まて、行ったらそのガキ撃つぞ」

マリュリア「っ…」


マリュリアは立ち止まってしまった。


ハル4「隊長!」

船員A「ひっひっひっ、嫌なら素直について来い」

ハル4「奴等の腕を撃って後は親衛隊に任せるのは、」

ハル2「悪くはないな。全員聞け、奴等の腕を撃つ。後は親衛隊に任せる」


マリュリアはイルシアの手をぎゅっと握り、少し後ずさりする。


船員A「おいどこ行く!」


ハル2「撃て。」


指示と同時に、数発の弾丸が放たれ船員二名の腕に命中した。


船員A「うっっ…!」

船員B「うぁっくそっっ!なんだ!?ぅぐっ…」

マリュリア「クラーラ、逃げるよ」

クラーラ「…っはひ…、」

ハル6「隊長、奴らのうち一人が市場の方に逃げました。注意してください」

ハル1「了解」


マリュリア達は船員から離れ、市場と反対の方向に向かった。


マリュリア「…少し綺麗な場所行こっか。」

クラーラ「はい…」


ハル6「現在、先ほど逃げた船員を追跡中だが、人混みで視認できず」

ハル2「少し待て」

ハル4「ここから見えます、女性が捕まっているようです。魚屋の前です」

ハル1「なら助けよう」

ハル2「待て隊長、こっちから手を出すのは危険だ」

ハル1「くっ……」

ハル6「俺が体当たりする。その後女性を助けよう」

ハル1「わかった…頼んだよ」


ハル6はもう一人の船員に体当たりし、倒れたところをそのまま引きずって路地裏に入った。


ハル2「隊長、あれでよかったんですかね。」

ハル1「まぁいいさ、それより誰か、女性を」

ハル5「ただいま保護しました」

ハル1「広場の噴水の前まで連れてきて」

・・・

ハル5は保護した女性を安全な場所に連れてきた。

マリュリアがその女性に話しかける。


マリュリア「あの、お怪我はありませんか?」

女性「えぇ…大丈夫です、ご心配ありがとう」

マリュリア「いいえ、」

女性「…貴女方、ここらの人じゃないわよね?」

マリュリア「はい、帝都の方から遊びに来たんです。マリュリアと申します。…お名前、お聞ききしても?」

女性「えぇ、私はアリア。そう固くならなくていいわよ」

マリュリア「ありがとう、アリアさん。ひとつ聞きたいことがあるんだけれどいいかな?」

アリア「いいわよ」

マリュリア「花が咲く綺麗な丘?ってどこにあるかな」

アリア「花が咲く綺麗な丘…あぁ!あの場所なら、市場を抜けてすぐの場所に咲いてる花を辿って行けば行けるわよ」

マリュリア「なるほど、…よければ案内してくれない?」

アリア「案内?もちろん!」

マリュリア「ありがとう!」


マリュリア達はアリアという女性に案内されて、丘へ向かった。

少しして、一面に花が咲き、背後に雄大な海が広がる美しい丘に辿り着いた。


アリア「ここよ!市場から少し離れてて人も少ないし、存分にのんびりして行くといいわ」

マリュリア「すごい…!」

クラーラ「とても素敵な場所ですわねっ!」

マリュリア「アリア、案内ありがと!」

アリア「いいえ〜」

マリュリア「クラーラ、ここで写真撮ろっか」

クラーラ「はいっ!」

アリア「…写真、私が撮ろうか?」

マリュリア「ほんと?ありがとう」


アリアはカメラを受け取り、マリュリアとクラーラは海を背景に花に囲まれた場所に立った。


アリア「3…2…1…」


アリアはシャッターを切った。


マリュリア「どう…?」

アリア「上手く撮れたよ」

マリュリア「どうもありがとう!」


アリアはカメラをマリュリアに返した。


マリュリア「ほんとにありがとっ」

クラーラ「ありがとうございますわ!」

アリア「お姉さんたち綺麗だから、ここの景色がいつにも増して輝いて見えるわ!」

クラーラ「えへへ、照れますわ//」

マリュリア「あ…そろそろ時間かな…」

クラーラ「…もう帰りますの?」

マリュリア「そろそろ帰らないと、日が暮れるまでに帰れないよ」

クラーラ「そうでしたわ…わかりました…」

マリュリア「アリアさん、私達はそろそろ帰らないとだ」

アリア「……、そうなのね」

マリュリア「えぇ…アリア、今日はありがとう。これ、私の連絡先。もしまたフルクの奴らが何かしてきたりしたら、遠慮なく連絡してね」

アリア「こちらこそありがとう。連絡って…」

マリュリア「あぁ、言ってなかったね。私たち、総統府の関係者なの。だから伝えてくれたらできる限りのことはするよ。今日の恩があるからね!ただ、国家同士のことだからあまり大きくは動けないけど…」

アリア「ううん、ありがとう。何かあったら連絡するわね」


マリュリア達はアリアに別れを言って車に向かって歩き出した。


アリア「…あの!!」


十メートルほど進んだ時、アリアが呼び止めた。

マリュリア「どうしたの?」

アリア「わ…私を、連れて行ってくれませんか……?」

マリュリア「へ?」

アリア「…ごめんなさいね……、ですけど…総統府の方なのでしょ?」

マリュリア「そうだけど…」


アリアが何か言いたげにこちらを見つめている。


マリュリア「……わかった、少し話を聞こうか。ここだとあれだし、カフェにでも行こう」


マリュリア達は市場に戻り、オーシャンビューのカフェに入った。

クラーラは甘い飲み物を飲みながら、マリュリアの横でサービスの塗り絵をしていた。


マリュリア「…で、帝都に来たいの…?…それとも総統府に来たいの?」

アリア「帝都に…」

マリュリア「それはなんで?」

アリア「ここでの暮らしに飽きてきちゃって…。若くて体が動くうちに、もっと色々な場所に行って色々な体験をしたいんです。だけど…行っても仕事もないし、生活も出来ないわよね…」

マリュリア「仕事ねぇ…。それと帝都は駐留艦隊の停泊地も近いし、ここより危ないよ?」

アリア「無理言ってるのは分かってる。でも…」

マリュリア「……宛はあるよ、」

アリア「えっ?ほんと…!?」

マリュリア「うん。総統府だけどね」

アリア「総統府…それでも良い、行きたいわ!」

マリュリア「ただ…私の一存じゃ決めれない事なんだ」

アリア「そう…よね…」

マリュリア「もし実現するってなったら、アリアは本当にそれでいいの?」

アリア「実現できるなら、それが一番よ」

マリュリア「…わかった、どうにか掛け合って見る」

アリア「ありがとう…!本当に、」

マリュリア「ただし。今すぐに連れて行くことはできない」

アリア「それはわかってます」

マリュリア「けど、いつかは連れて行ってあげる」

アリア「ほんとありがとう…ごめんなさいね、時間とっちゃって」

マリュリア「いいよ。じゃあ私たちはそろそろ、」

アリア「うん」

マリュリア「今日はありがとうね。またね!」

アリア「こちらこそありがと!」

マリュリア「代金は置いていくね。行こっか、クラーラ」

クラーラ「むにゃ…うんっ、お姉ちゃん…。アリアお姉さん、これあげりゅね」

アリア「まぁ、かわいらしい塗り絵!大事にするわね」


クラーラはうとうとしている。

今度こそアリアに別れを告げ、マリュリアとクラーラ、それに特務隊は車に戻った。


車が発進するとすぐに、クラーラは眠りに落ちた。


マリュリア「おやすみ、クラーラ」


ハル2「隊長、あの女性はどうする気なんだ?」

ハル1「そうだね…内務卿にでも掛け合ってみるよ」

ハル6「また内務卿か、俺はアイツ気に入らねぇんだ」

ハル2「やめとけ、隊長は内務卿の秘書でもあるんだぞ」

ハル1「別にいいよ、チクリはしないよ」

ハル7「……ところで隊長、親衛隊の奴等は…?」

ハル1「あ…」

ハル4「まさか置いてきた?」

ハル1「ははは、やっちゃったね。まぁでもとっ捕まえた三人組の対応してるだろうし、良いんじゃない?」

ハル6「ざまぁ見やがれってんだ。」

ハル7「まぁ車も置いてきてますし、通信しておけば勝手に帰ってくるんじゃないですか?」

ハル1「そうだね、一応通信するよ」

ハル6「あんな奴等放っておけばいいのに」

ハル2「こら」

ハル1「ハル1より親衛隊の方たち、先帰ってるから勝手に帰っておいて〜」

親衛隊員「は!?何馬鹿な事言ってんだ!これは上に報告させてもらうからな!」

ハル1「めんどくさい人達だね。…これは後で上からグダグダ言われるやつだね…」

ハル6「だろ?だから放っておけばいいんだ」

ハル5「お前は一旦黙ったらどうだよ」

ハル7「隊長もお疲れでしょ、休まれては?」

ハル1「そうだね……少し休ませてもらうよ。お前たち、喧嘩はするなよ?」

ハル6「へいへい分かってますよ」

ハル5「お前の言葉に説得力はねぇよ…。」

ハル6「あ゙ぁ?!」

ハル1「ほらぁ、言ったそばから…ふわぁ」


マリュリアは眠りに着いた。


―――


それから数時間が経ち、総統府に帰ってきた。

外はすでに暗くなりつつあった。


ハル7「隊長、着きましたよ」

ハル1「んっ…あぁ…」


マリュリア「クラーラ、起きて、」


イルシアは起きそうにない。


マリュリア「仕方ない…」


マリュリアはイルシアをそっと抱き上げ、車を降りた。


ハル1「ハル1より全員へ、ご苦労だった。帰ってゆっくり休んで」


マリュリアはイルシアを抱き抱えたまま内務卿執務室へ向かった。

部屋の扉をノックして入った。


マリュリア「失礼します内務卿、ただいま帰りました」

トイアー「おぉ、お帰りマリュリア。クラーラはおねむかい?」

マリュリア「はい。いくつがお伝えすべき事があるので、クラーラをベッドに寝かせたらまた来ます」

トイアー「うむ、わかった」


マリュリアは部屋に戻ってイルシアをベットに寝かせ、内務卿の元に戻った。


マリュリア「戻りました」

トイアー「うむ。で、伝える事とは?」

マリュリア「はい。まず1つは、市場で出会った女性の事で…」


マリュリアはアリアの事を伝えた。


トイアー「ふむ…ここに連れて来たいのか……」

マリュリア「はい…」

トイアー「しかし、仕事と言っても雑用くらいだぞ?」

マリュリア「そうですか…。……エルゼの後任は…?」

トイアー「なるほど、、確かにそれはありだ。採用の方向で検討しよう」

マリュリア「ありがとうございます。あと、」

トイアー「?」

マリュリア「市場で駐留艦隊の乗員と鉢合わせまして」

トイアー「事後処理か」

マリュリア「はい…。特務隊の皆が二名の腕に数発の銃弾を撃ち込んだのと、一名を体当たりで倒しました。その後は親衛隊に任せました」

トイアー「なるほど。少し面倒な事があったようだな」

マリュリア「はい。あと…」

トイアー「まだあるのか」

マリュリア「…親衛隊の方達を置いてきちゃいました、」


内務卿が椅子からずっこける。


トイアー「まぁ…、何とかしよう」

マリュリア「ありがとうございます。ではこれで」

トイアー「うむ、おやすみ、マリュリア。また明日にでも土産話を聞かせてくれ」

マリュリア「はい、内務卿。おやすみなさい」


マリュリアは部屋に戻った。

部屋に戻るとマリュリアはイルシアの隣で横になり、目を閉じた。帰りの車でよく寝たためか、なかなか寝付けなかったので、今日のお出かけを振り返っていた。そして、横で寝ているイルシアの寝顔を見るとふふっと笑った。


―翌日。


マリュリアは廊下から聞こえる騒音で目を覚ました。


マリュリア(やけに廊下が騒がしいな……)


複数の足音が部屋に近づいてくる。

マリュリアはイルシアの顔が見えないようにしてそっと立ち上がり、机から拳銃を取り出し廊下側の扉の横に立った。


マリュリア(エルゼではないな)


ノックもなく部屋の扉が開き、親衛隊員数名が入ってきた。

マリュリアは、入ってきた隊員の最後の者を床に押し付け、次の奴の後頭部を拳銃で殴った。

さらに次の奴を殴ろうとした時、イルシアが目を覚ました。


マリュリア「っ!…クラーラ!」

クラーラ「んぅ、、ひっ…」


マリュリアはクラーラの肌を隠した。

親衛隊員が隙のできたマリュリアの腕を掴み、殴ろうとしたその時、会議室側の扉が開いた。


トイアー「何をやってるんだ!」


内務卿が部屋に入ってきた。

マリュリア「内務卿!」

親衛隊員「内務卿殿…」

内務卿「お前達は戻れ。ここから出ていけ!」

親衛隊「くっ…承知致しました…」


親衛隊員は寝そべっている者を起こし連れて行こうとした。


親衛隊員「起きろ…。おい、起きろ」

内務卿「……マリュリア…?」

マリュリア「殺してませんからね?」

内務卿「親衛隊の諸君、すまないが私の執務室へ行って秘書のエルゼに手当てをしてもらってくれ」

親衛隊員「承知しました、内務卿」


親衛隊員は指示に従った。


マリュリア「内務卿…申し訳ありません…」

トイアー「いいんだ、それよりクラーラは?無事か?」

クラーラ「はい…。怖かったですわ…」

マリュリア「ごめんねクラーラ…怖がらせちゃったね」

トイアー「…これは後処理が面倒臭くなりそうだ…親衛隊とは関係を悪化させたくないんだが…」


マリュリアは内務卿と共に事後処理をした。幸い、内務卿と武装親衛隊長官フランツ=フェルディナンド=シェルナーの関係は良好であったために、親衛隊長官のマーク・アンジェロに話を通し穏便に事を済ませることができた。

しかしそれでも、親衛隊保安警察員の特務隊に対する感情は、そう簡単には改善しないのであった。


―中編③へ続く


(マリュリア・アルーシャ/ハル 寄稿)

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