-Side Story- イルシアとマリュリア 中編④「長い一日」
マリュリアが列車に乗ってから1時間程経った頃、特務隊情報班は何かを嗅ぎつけていた。
―――総統府 内務卿執務室―――
内務卿に一本の電話がかかった。
トイアー「……わかった。ご苦労。うむ、マリュリアにも伝えておいてくれ」
・・・
それから20分ほど経った頃、マリュリアが乗った列車は東市場に到着した。
マリュリア「んーっ、ふわぁ…よく寝た……」
マリュリアは荷物を持って列車を降り、駅を後にした。
アリアに会うために来たわけだが、約束もしないで来てしまったため、まず探すところから始めなければならない。そうこうしているうちに、意外にも簡単に見つかった。いや、それほど大きな町ではないから当たり前と言えば当たり前ではあるのだが。
そしてアリアは、またよくわからない男に絡まれていた。
マリュリア「あらー…アリア男運無いなー…仕方ない、助けるか」
マリュリアは後ろから男に近づき、右手で男の腕を掴んだ。
男が暴れるため、腕を引っ張ろうと力を入れた。
マリュリア「いっ…。」
が、昨日の訓練でできた傷が開いてしまった。
男はマリュリアに掴みかかったが、マリュリアはさっとかわして男を押し倒し、左手でアリアの腕をつかんで走り去った。
マリュリアとアリアは以前来たカフェに入った。
マリュリア「ふぅ…危なかった…」
アリア「マリュリアさん、お久しぶりね…またありがとうございますっ」
マリュリア「いいよー!」
アリア「今日はどうしたの?」
マリュリア「うん、アリアに用があって来たんだよ」
アリア「私に…!」
アリアは何かを察したのか、目をキラキラと輝かせていた。
マリュリア「うふふ笑、アリア、総統府に来ない?」
アリア「そ、総統府に?」
マリュリア「うん、あそこで働けば衣食住は保証されるし、休みの日には帝都も行き放題だよ」
アリア「…話が出来すぎてない?」
マリュリア「うん、まぁ今言ったのはあくまでも内務卿第一秘書とかの話で、総統府の職員全員が保証されるわけじゃない。けど上の人に事情は話してあるし、ちょうどこっちの都合もあったから。アリアなら通ると思うよ!一度面接受けてみようよ?」
アリア「…わかった、やってみるわ!」
マリュリア「じゃあ決まりだね、準備できたら早速列車で総統府に向かおう」
アリア「じゃあ準備してくるわねっ」
アリアが準備をしている間、マリュリアは市場を歩いていた。
マリュリア「…そうだ、"あれ"でも買って行こうかな」
マリュリアは魚屋へ行き、とあるものを買った。
数分してアリアが合流した。
アリア「マリュリアさん、準備できたわよ!」
マリュリア「よし、じゃあ早速向かおっか」
二人は駅へ行き、列車に乗って帝都クルクラシアへと向かった。
マリュリア「…そうだアリア、面接官にこれを渡して?」
マリュリアは市場で買ったものを左手でアリアに渡した。
アリア「…にぼし…?」
マリュリア「うん、面接官の好物なんだ」
アリア「物で釣る作戦ね!ありがと!…あの、マリュリアさん」
マリュリア「んー?」
アリア「もしかしてマリュリアさんって、内務卿の秘書さん…?」
マリュリア「なんでそう思ったの?」
アリア「昨日テレビで警備隊と警務省の合同訓練を見たの。その時、内務卿の秘書が警務省の特殊部隊で働いてるって言ってて」
マリュリア「それと私とにどんな関係が?」
アリア「その人、負傷して"赤い血"が垂れてたの。その服の、右手のところの染みみたいな…」
マリュリア「っ……」
アリア「それにさっき内務卿の第一秘書の事を言ってたもの。きっとそうでしょう?」
マリュリア「ま、総統府に着いたら分かるよ」
アリア「ふふっマリュリアさんったら隠し事がへたっぴね!」
マリュリア「むぅ!」
暖かい日差しに照らされながら列車に揺られるうちに、二人の賑やかな話し声は寝息へと変わっていった。
―――
アリア「はっ…マリュリアさん……マリュリアさん…!」
マリュリア「ん…?ふわぁ…」
アリア「着きましたよ!」
マリュリア「着いた…あ!」
アリア「帝都に着いたわ!早く降りましょ!」
二人は荷物を持って慌てて列車を降りた。
総統府に向かう道中、アリアは心が躍っていたのか、辺りを見回しスキップをしながらマリュリアに着いて行った。
マリュリア「ついた!ここが総統官邸。」
アリア「ここかぁ……大きい建物ね…田舎じゃこんなに大きい建物ないわ〜」
マリュリア「そうよね。とりあえず入ろっか」
・・・
アリア「…綺麗……」
アリアが玄関ホールの美しさに見惚れていると、ちょうど内務卿がお茶を飲みながら歩いてきた。クラーラも一緒だ。
マリュリア「あ、内務卿!只今戻りました」
トイアー「お、マリュリアおかえり〜」
クラーラ「お姉ちゃんお帰りなさい!」
マリュリア「うふふ、ただいまクラーラ」
トイアー「君がアリアさんかい?」
アリア「あ、はい。アリアと申します」
トイアー「そう固くならなくていいぞ、話は聞いてるから、とりあえず私の執務室に行こうか」
トイアーはアリアを執務室へ案内すると、部屋の中央にあるテーブルの側の席についた。
アリアが座らずに立っていたので座るよう促すと、アリアは反対側のソファーに座った。
マリュリアもソファーに座り、膝の上にイルシアが座った。
マリュリアはイルシアの頭に顎を乗せてにっこりしていた。
トイアー「挨拶が遅れた、私が内務卿のマリウス・シュトラス=トイアーだ。よろしく」
アリア「宜しくお願い致します、トイアーさん。私はアリアと申します。早速なのですが、私から一つ」
トイアー「うん?」
アリア「つまらぬ物ですが、」
アリアは先程マリュリアに渡されたにぼしを渡した。
トイアー「にぼし!実は大好物なんだ、ありがとう!この前マリュリアが東市場に行った時に、お土産に頼めばよかったなぁって後悔してたんだ〜」
そう言うと早速袋を開け、ぱくぱくと食べては「うめ〜!これだよこれ」と言っている内務卿。アリアは驚き、何とも言えぬ目でマリュリアを見た。マリュリアは「てへ」って顔をした。
マリュリア「あのぉ〜内務卿?」
トイアー「おぉ、すまないすまない」
マリュリア「しっかりしてくださいね。総統にチクリますよ?」
トイアー「許してください」
マリュリア「許します」
トイアーがホット一息つく。アリアは横でくすくす笑っている。
トイアー「で、アリア、これまたどうして総統府に来たんだい?」
アリア「はい、私は田舎から抜けて帝都で暮らしたいと思っていたところ、マリュリアさんからのお誘いをいただき、ぜひとも、と連れてきていただいた次第です」
トイアー「ふむ、採用」
アリア「はい、、へ…!?」
マリュリア「ちょっと内務卿、雑じゃありません?」
トイアー「そんな事はないぞ、信頼するマリュリアが連れてきたのだから、良い子なのだろう。それに、仕事も覚えれば良い」
アリア「こちらで働かせていただいてよろしいのですか…?」
トイアー「あぁ、いいぞ?」
アリア「本当にありがとうございます…!お仕事の方は何をすればよろしいのでしょうか?」
トイアー「…まだ言ってない?」
アリア「はい、」
トイアー「マリュリア、言わずに連れてきたの…?」
マリュリア「言ってませんね…。総統府の仕事としか」
トイアー「あちゃ、一応内務卿第二秘書なのだが…良いかい?」
アリア「は、はいっ!田舎から出てきたてでおぼつかない部分もあるかと思いますが、精一杯頑張ります!先輩がマリュリアさんなら尚更大丈夫です!」
トイアー「…マリュリア、第一秘書の事言ったのか?」
マリュリア「何かバレました。鋭い観察眼があるようで」
トイアー「ほほう?それはマリュリアとしては凄くありがたいんじゃないか?ただまぁ、少々事情が複雑なんだ。すぐに引き継ぎはできないと思うから、しばらく泊まっていってくれ」
アリア「承知しました。ありがとうございます」
マリュリア「内務卿、部屋は?」
トイアー「そうだな…マリュリアの部屋、まだ入るか?」
マリュリア「人数的にはいけますが…クラーラ、いい?アリアが一緒でも」
クラーラ「いいですわよ!」
トイアー「では決まりだな」
マリュリア「では私は先に部屋に戻りますね」
マリュリアはイルシアと一緒に部屋に戻った。
マリュリア「クラーラ、ホログラムの装置をこっちに変えよう」
マリュリアはイルシアに新しい装置を渡す。
クラーラ「これは…?」
マリュリア「科技庁に新しく開発してもらった猫耳型ホログラム装置だよ!使い方は前のとほぼ一緒で、バッテリーの持ちが良くなった。ちゃんと充電すれば一週間はずっと使えるよ」
クラーラ「まぁ!画期的!」
クラーラは装置を変え起動した。
マリュリア「よし、じゃあアリアを連れて来よっか」
マリュリアはアリアを呼びに行き、三人で一緒に部屋に戻った。
アリア「広いわね…ですね〜」
マリュリア「そうかな、」
アリア「はい!」
マリュリア「まぁ国の中心だからね。じゃあ、荷物はそこら辺に置いといて〜」
アリア「わかりました」
マリュリア「…敬語じゃなくて普通に喋っていいよ?」
アリア「わかった!」
マリュリア「それでよし。じゃあ私は仕事しなきゃ、」
クラーラ「お姉ちゃん遊んでくれませんの…?」
マリュリア「ごめんねクラーラ。そうだアリア、クラーラと遊んでてくれない?」
アリア「もちろんよ!」
マリュリア「クラーラも良い?」
クラーラ「良いですのよ!」
マリュリア「うふふ、じゃあアリア、お願いね」
アリア「お任せ!」
マリュリアはイルシアとアリアが仲良く遊んでいるのを横目に仕事をしていた。来てすぐの頃は人見知りをしていたイルシアも、カルラディアの人々に慣れてきたのか、あまり気を使うことなく楽しめているようだ。
―――
数時間が経ち、外が暗く成り始めた。イルシアは眠そうにしている。
アリア「マリュリアさん、クラーラちゃん眠そうだわ?」
マリュリア「ほんとだ。クラーラ、そろそろ寝よっか」
クラーラ「うにゃ〜…」
クラーラはベットで横になり、マリュリアはクラーラが寝るまで隣にいた。
クラーラ「すぅ…すぅ…」
マリュリア「おやすみ、クラーラ」
マリュリアは椅子に戻り、仕事の続きをやり始めたが、アリアも居眠りしている事に気づいた。
マリュリア「今日は初めてのことも多くて疲れたよね…アリア、もう寝る?」
アリア「ええ…けど私はここで…」
マリュリア「ベットで寝ていいよ」
アリア「じゃぁそうしようかな……くぁあ…」
アリアはベットで横になるとすぐに寝てしまった。
アリアが眠ってすぐ、会議室側の扉が小さくノックされた。
トイアー「マリュリア、今いいか?」
マリュリア「少し待ってください」
マリュリアはそっと扉を開け、会議室に入った。
マリュリア「どうされました?」
トイアー「うむ、保安警察の例の件でな」
マリュリア「何か掴めましたか?」
トイアー「新たな証拠、それも確実なやつが出てきたんだが、やはり手を回していたのはエルゼだった」
マリュリア「そうですか…」
トイアー「明日にでも逮捕しよう」
マリュリア「わかりました」
トイアー「あぁ、あと」
マリュリア「?」
トイアー「アリアはどんな様子だ?」
マリュリア「今日一日クラーラの相手をさせていましたが、二人とも仲良くしていますし、クラーラも楽しそうなので、その点では問題はなさそうです」
トイアー「そうか。では残るは仕事面だけかな。それじゃあ後は私に任せて、マリュリアはおやすみ」
マリュリア「はい、おやすみなさい内務卿」
マリュリアが部屋に戻ると、次は廊下側の扉がノックされた。不安に思いながら拳銃を取り出し、扉の横で「…どちら様?」と尋ねたが返事は無い。警戒しながら扉を開けると、屈強な男達が無理やり押し入ってきた。
マリュリア「また!?うっ…!」
マリュリアは突き飛ばされた。
マリュリア「いった…」
クラーラとアリアも物音に気付き、目を覚ました。
クラーラ「お姉ちゃん!」
アリア「マリュリアさん!」
マリュリア「二人は会議室に行って!早く!」
クラーラとアリアが走るが、一人の男が素早く会議室の扉の前に立った。
不審者2「お嬢ちゃん達、どこへ行く気だい?」
クラーラ「ひっ…」
アリア「クラーラちゃん…私の後ろにいて。」
マリュリア「アリアだめ、逃げて!」
不審者1「よそ見すんなっ!」
不審者1はマリュリアを殴り、ナイフを取り出した。
不審者2「お嬢ちゃん一緒においでよぉお?ふへへへへ」
アリア「きっしょ…誰がてめぇなんかについてくか」
不審者2「あぁ?生意気言える立場じゃねーだろー?…可哀想だなぁ、そいつがいなけりゃお嬢ちゃん達が怖がる必要も無いのにねぇ」
マリュリア「やめろ!二人に近づくなバカ!」
マリュリアが立ち上がろうとすると、不審者1がマリュリアの髪を掴み引っ張った。
不審者1「どこ行く気だぁ?ぇえ?」
マリュリア「痛っ…やめ…っろ!」
不審者1「ふふふふふ…ふはははははは!」
不審者1が不気味な笑いと共にナイフを振りかざそうとしたその時、
会議室側の扉が大きな音とともに倒れた。
不審者1「ははは…は!?」
扉の向こうにいたのは、なんと内務卿だった。
内務卿は蹴り破った扉の上に乗り、扉の下敷きになった不審者2を踏みつけた。
不審者2「うぐぇぇ…」
トイアー「おいてめぇら…何処から湧いて来やがった?あ?」
不審者1「お前に用はねぇ!」
トイアー「やかましい!はよ離れんかい!!」
内務卿は倒れた扉を持ち上げ、扉で不審者2を殴り、さらに不審者1に向かって投げつけた。すると意外にも、扉は不審者1の顔面に直撃し、不審者1は倒れ込んだ。すかさずマリュリアがナイフを奪い、不審者1の足の腱を切る。
アリア「おいてめぇ!誰の指示だ!?」
不審者2「え、エルゼさんですぅ」
アリア「誰だ!」
トイアー「やはりエルゼか…アリアはそりゃ知らないわな」
マリュリア「…内務卿、アリア、やるなぁ…」
トイアー「マリュリア、感心してる場合じゃないぞ。今すぐにでもエルゼの所へ行く。隊の者を呼べ!」
マリュリア「へ、あっ、はい!」
マリュリアは念の為不審者1を殴った後、無線器を取り出した。
ハル1(マリュリア)「ハル1よりハル隊に告ぐ。至急、第三種装備で総統官邸に集合せよ。」
それから3分も経たないうちに、ハル隊は到着。
明らかに喧嘩を売ったらヤバそうな集団が官邸の玄関口に入ってきた。
ハル2「ハル3ハル4は玄関口で待機、誰も入れるな」
マリュリア「やぁ君たち〜」
ハル2「隊長…!ボロボロじゃないですか…、それに隠さなくて良いんですか…?」
マリュリア「うん、さっきまた襲撃されたのと、私は守るものが少し多いからね、バレてたほうがやりやすいんだ。けど君たちは隠してなよね」
トイアー「マリュリア、」
ハル6「ちっ…内務卿かよ…」
ハル2「おい、口を慎め」
トイアー「こちらの人員は揃ったね。早速だけど保安警察の件、裏から手を回している者が判明してな。そいつを捕まえる」
ハル6「なんだ、なかなかやるじゃねえか」
トイアー「マリュリアをこんなにした奴は許せない…ここで待ち伏せる、公開処刑だ」
マリュリア「内務卿…?」
トイアー「安心しろ、私の職権の及ぶ範囲までしかやらないよ」
マリュリア「相手が武器を持っていて、かつ攻撃の仕草がある場合のみ発砲を許可する。それでも、捕まえることが目的だからね。」
トイアー「私が一度エルゼを試す、もうほぼ確定だが最後に一度だけな」
マリュリア「…わかりました。全員配置に付け。」
ハル隊は隠れた。数分してエルゼが来た。
エルゼ「こんな夜更けにお呼びとは、どうなさいましたの?内務卿。」
トイアー「うむ、実は…マリュリアが急死してな…。第一秘書の後任を決めたいんだが、引き受けてくれるか?」
エルゼ「!!…勿論ですわっ!第一秘書やらさせていただきます!…あ、その、殺されてしまったことは本当に残念でございますわ。」
トイアー「うん。ありがとう、、、はぁ…しかしマリュリアを失ったのは本当に痛手だ…」
エルゼ「閣下ご安心を、私がしっかりと職責を果たしてご覧に入れますわ!」
トイアー「いや…お前では完璧に彼女の職務を引き継ぐことは不可能だ…凄い子だったんだぞ?あの子は…」
エルゼ「何をおっしゃいます!?あのように物騒な戦闘狂の異星人…いや、ケダモノよりも、この青き肌、青き血の尊い血統を持つ私めが!」
トイアー「何を言う…お前はあの子のことを何もわかっていない……」
エルゼ「わかっておりますとも!!すべて!!」
自分の能力を否定されたエルゼは、涙を流すトイアーに詰め寄り、トイアーは気圧されて少し後退りした。その瞬間、隠れていたハル隊がエルゼを取り囲んだ。
エルゼ「内務卿…?これはどういうことですの?」
トイアー「こういう事だよ。」
マリュリアが出て来た。
それを見たエルゼは青ざめた。
エルゼ「内務卿…私を試したのですか…?第二秘書として建国当初から貴方様にお使えしてきたこの私を…?卑怯じゃありませんこと…?」
トイアー「卑怯なのは貴様の方だ。マリュリアが特務隊員であることをいつお前に知らせた?私は知らせていないぞ。お前は勝手に探りを入れた上、あろうことかマリュリアの命を狙って第一秘書の座を簒奪しようとした!違うか!」
エルゼ「な、何を証拠にそんなことを!」
そう言うとマリュリアがとある音声を流し始めた。
***録音***
エルゼ「何をしてるのよ!殺して良いって言ったじゃないの!」
保安警察員「しかし…」
エルゼ「しかしもおかしも無いわ!何よ、腕にかすり傷一つとか!それに妹を使って脅して殺しても良いって言ったのに何でそんな事もできないの!」
保安警察員「…」
エルゼ「もういいわ、我慢の限界よ。マリュリアは他の者に頼むわ、報酬は無しよ。はーぁ、やになっちゃう。せっかく第一秘書の座を手に入れるチャンスだってのに…。」
***録音終わり***
トイアー「さぁこれをどう説明する気だ」
エルゼ「なぜそれを…!?あいや、それはあの…その…違くて…」
トイアー「今すぐ認めれば命だけは助けてやる。ただしこの場でお前を解雇する」
エルゼ「ははは……ここで終わりなのね…それなら…」
エルゼは服の下から短機関銃を取り出し、銃口をマリュリアの方に向けた。
マリュリア「…私の…!?」
マリュリアはとっさに内務卿を押し倒し庇った。
そしてエルゼが引き金を引くと数発の弾丸が放たれたが、同時にハル隊はエルゼに飛びかかり、動きを制止した。
エルゼ「離して!!」
トイアー「マリュリア!大丈夫か!?」
マリュリア「私は大丈夫……みんなは大丈夫?」
ハル隊「大丈夫だ」
内務卿は、内務卿なのに心配してもらえなかった。
ハル2「内務卿第二秘書のエルゼ…いや、元第二秘書のエルゼ、殺人未遂で現行犯逮捕。余罪は警務省の拘置所へ護送後だ」
マリュリア「みんな、ごめんだけど後は頼むよ。私はアリアとクラーラを見てくる」
マリュリアは部屋に戻った。
マリュリア「二人とも大丈夫?」
クラーラ「大丈夫ですわ!お姉ちゃんは…?」
マリュリア「私は大丈夫だよ」
アリア「私も問題ないわ。うまくいったの?」
マリュリア「うん、いま特務隊と総統府警備隊が対応してくれてる。拘置所に護送して、裁判にかける手筈みたいだよ。それにしても…部屋がぐちゃぐちゃだね、」
アリア「片付けちゃいましょ?」
マリュリア「そうだね、クラーラは寝てていいよ」
クラーラ「いえ!私も手伝いますわ!私のお部屋でもあるんですもの!」
マリュリア「そっか、じゃあ三人で片付けよっか!」
三人は部屋の片付けを始めた。
ガラス片や木片などの危ないものはマリュリアとアリアが片付け、安全な物の整頓をクラーラに頼んだ。
―――
翌日。
早朝、内務卿がマリュリア達の様子を見に部屋に入ると、三人は同じように寝息を立てて、クラーラを挟むようにして同じベットで寝ていた。
それから二日後、アリアは内務卿第二秘書になった。
秘書としての仕事やイルシアの事を軽く説明した。
トイアー「…というわけだ、急ですまないが、これから宜しくな、アリア」
アリア「はい!宜しくお願いします!」
マリュリア「うふふ、よかったね、アリア」
アリア「改めて宜しく、マリュリア先輩!」
トイアー「うんうん、君たちなら安心して仕事を任せられるよ」
そして三人は部屋に戻った。
アリア「…それでも同じ部屋なのね笑」
マリュリア「うーん、まぁ同じ部屋のほうが仕事も楽だから。それにクラーラの事も頼めるしねっ!」
クラーラ「アリアさん、改めてこれからよろしくですわ!」
アリア「こちらこそよろしくねクラーラちゃん!」
アリアが来て賑やかになり、三人の少女と一人のおじさん(内務卿)は楽しく過ごしていた。
マリュリアはアリアに仕事を教えながらクラーラの相手もし、さらにはマリュリアを覗きにやって来る鬱陶しい内務卿を薙ぎ払っていた。
アリアは仕事を教えてもらう傍ら、三人で帝都に遊びに行ったりと楽しんでいた。
クラーラはアリアという新しいお姉ちゃんができて、もっと嬉しそうだった。
―――
イルシアが帝国に来て、約一年が経ったある日。
総統からイルシアとマリュリアに呼び出しがかかった。
クルーク「お二人さん、最近はどうだ?」
マリュリア「すっごく楽しいです!こんなにかわいい妹をいただけて、ほんとに幸せです…」
クルーク「そうか、それはよかった。イルシアはどうだ?」
クラーラ「私も、お姉ちゃん達と毎日あんなことやこんなことをして…すっごく幸せですわ!」
マリュリア「ちょっとクラーラ、言い方!」
クラーラ「えへへ//」
クルーク「楽しそうで何よりだ笑。ところでイルシア、実はな」
クルークが本題を伝える。
クルーク「ここにいるのは私の妻、リベルタなんだがな。イルシア、君には我々夫婦の養子になってもらいたいんだ…」
―後編へ続く
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