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第7.5話 或る探検家の斗い

銀河水平波間を超えて、目指す恒星ケンタウリ。 星の瞬き遥かに超えて、宇宙に輝く星の船。  おれたちは、あの戦いの後に彼らを追って宇宙に出た船だ。2度にわたる火星との戦いで、地球は痛みを知った。2度と痛みを繰り返したくないと、火星の人たちを根こそぎ地球に連れ去った。  接収した火星の帳簿と、実情があっていなかった事がおれたちの旅の始まりだった。そして、件の謎の沈没船。おれたちは彼らの船の一隻を用いて深宇宙へと旅立つ。  時に、地球西暦2187年のことだった。 「おやっさん、この船って火星のなんですよね」 「あぁ、トロヤの宇宙港で接収した船だ。後おやっさんと言うな」 「でしたら、何故地球の種苗を積んでるんですか?」 「一種の探査艦の役目も今回、我々が担うことになったからな」  おれは、ミータカ・エルノラ。いなくなった弟のように、こうやって日記を書いてる。航海日誌として基地に出すんだけど、おやっさんが直してくれてる。  それと、横の白い少女はミツネ・マズロア。かなり強い剣士で、白兵となれば空間騎兵でさえ簡単に切り伏せちゃう。おれとミツネと、おやっさんと火星艦。少し長めの旅になりそう。 「もうすぐ、冥王星の遠日点に匹敵する距離…移動したのか」 「オールトの雲、小惑星が沢山。ふわふわしてそう」 「ミツネ一尉、あれはゴワゴワしてると…沖田さんが言っていたよ」 「そんな…わかったわ、サンプルリターンしますよ」 「ミータカ、一尉を止めてくれ」  地球からの交信は既に途絶えて何日か。ふと、謎の船が見えてきた。 「目がある船」 「火星艦?」 「いや違う、未確認の艦艇だ。備えろ」  火星ではないが、何か狂気を隠してそうなその船におれたちは接近。接触を試みるも、攻撃してきた。どうにも、火星以外にも宇宙には敵が沢山いる。痛みが、また増える。 「うわぁぁぁ!」 「回避だ、急げ!」  咄嗟に交わしたものの、近くの隕石は吹っ飛んでしまった。その隕石の、リコリスの間から赤い瞳のあいつが睨んでくる。おれは、直感した。 「あっちの方が強そうだ」 「ha!?」  火星艦、オーバーカム号から試作汎用機XSR87で飛び出した。この閃きが、おれたちの航路を変えたのだと気付いたのは少し後の事になる。  赤いビームを回避しつつ高速で目玉の船に飛び付き、機関砲とミサイルでハッチを無理くりこじ開ける。そこでやっと気付い...

第7話 交渉人ジークハント

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カルラン暦6年2月、海賊艦隊からの大規模な襲撃を受け大損害を被ったカルラディア帝国は、その復興に向け全力を注いでいた。 国を興してから5年と日の浅い帝国は、先の襲撃を教訓により一層の軍備も考えなくてはならない。失った戦力を補填した上でそれ以前の戦力を超える規模で。 しかし、受けた打撃は大きく復興にさえ苦慮している状況だった____ ーーーフルクファーラント大皇国ーーー 先の戦闘を主導し海賊をけしかけて来たフルクファーラント大皇国は、その戦闘の成果の報告と、以後の植民地運営についての皇王御前会議を開いていた____ 宰相「本日の会議の前に、私から皇王陛下にご報告致したい事がございます。」 皇王「…述べよ、宰相」 宰相「はっ!先日の戦いにおいては、我が方の圧勝と云うべきものでありました。只…、最後のチャンスとして手を貸したあの海賊共は最早使い物にならないでしょう。多少の損害を受けただけで逃げ腰の撤退。我が国の覇道に反する行い、見逃す事は出来ますまい」 皇王「ふむ……。宰相よ、卿は何か代替があると?」 宰相「無論にございます。彼のカルラディア等、如何でございましょう?」 皇王「ほう?卿は以前、『彼奴らは侵略者であるから、排除すべき』と申していたように余は記憶しているが?」 宰相「私も考えが変わりました…。あの者等は海賊をいとも容易く返り討ちに致しました。その力は、然るべき者が然るべき時に然るべき場所で用いるべきです。このシュリウシアの外の技術を手中に収める良い機会でもあるかと…」 皇王「ほう…。見立ては出来ているのか?」 宰相「はっ、既に彼の者等に交渉の打診を済ませております。近日中には解答も得られるでしょう。まぁ、先の戦闘で主星に痛手を負った彼らには、受けざるを得ない話ですがね」 そう言うと、何とも不敵にそして気持ち悪く”フッフッフ”と笑いを零す。 その様を見ていた他の大臣等から宰相に対して小言が溢れる 右大将「いやはや、流石は宰相殿。我等には遠く及びもつかぬ様な事を良くもまあ其処まで思い付くものですな。最早…、御自分で国を興された方が良いのでは無いですかな?」 宰相「これは右大将殿、お褒めに預かり光栄の至。しかし、私めはまだまだ若輩者故、国を興し民を導く等まだまだ…。そう言えば、右大将殿に於かれては近頃何やら体調が優れぬと耳にしましてね。私としては、滋養も兼ねご隠居成...

第6.5話 荒波の陰で

 時は半日ほど遡るだろうか、首都の郊外のある屋敷にて。 「カルラディアに乾杯!」 「「乾杯!!」」  かれこれカルラディア建国から5年、彼は自分が教師から探検家を経て、まさか最高裁判長になるとは思ってはいなかった。ポルトメルシア探検の功が認められた形ではあるのだろうが、教育方面で行くのだろうと思っていた彼にとって意外な形であった。  そんな中、首都の郊外に私邸と私立学校を構えた彼は門下生を呼んでホームパーティを行っていた。 「しかし、まさかまだハル先が34だとは…」 「小鳥の艦長も、あの時から全く変わってませんね」 「ハルキが教職についてたのは3年間だけだったけど、それ以降も船内で先生やってたからねぇ。みんなも色々教えてくれてありがとね」 「ユーキも、ここまで付いてきてくれてありがとう」 「リア充吹っ飛べ!」 「こーら、そこ!」 「委員長ちゃん、落ち着いてって」  その中で、遅れてきたという考古学専攻に行った元生徒が“とっておき”を持ってくるというから、それまでは全員お酒を抑えていた。  特に慕われていたというよりは、先生として必死過ぎた人だったらしい。その中でも正しいと思った事をやろうとする、しがない新米教員だったのだ。  だが、一つの正義というものは他の正義を抑えてこそ成立する。ある日、空の上から理不尽にも抑圧の柱が堕ちてくる事もあるのだから。 「向こう、駅の方で爆発が!」 「敵艦…あれは昔ハーマリアで」  像と像が合う、ピントがくっきりとすると言う事はこう言う事だろう。何かを直感した先生…こと最高裁判長ハルキ・ウィンブライ・インザールは元生徒達に檄を飛ばす。 「即座にうちのシェルターを開放する、最低限この街区の人たちは入るだろう」 「せ、先生!?」 「食料は出せなくとも、防空壕にはなる。急げ!」  空襲に逃げ惑う民衆に、インザールは自宅のシェルターを開放。そこに元生徒と共に避難誘導する。  とてもではないが、政府高官にあるまじき行為だ。 「流石にすし詰めだね」 「しかし、私の提言通り先生用のシェルターも併設してて良かったでしょう」  建築の道に行った元生徒が誇らしげに話す。  だが、ここは自分の生徒を褒めたがった彼だが盟友や他の政府要職はどうなっているか、心から心配していた。歴史を知っている彼は、国が滅んだ後の悲惨な人々の事を知っていた。 「そうさね…臣民の最...

第6話 戦火の帝都

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 国家としての基盤が整ったカルラディア帝国は、ついに資源獲得の為にハーマリア星系の制圧に乗り出した____ ーーーヴィルディア 総統府ーーー カルラン暦6年2月1日、第二艦隊がハーマリア星系へ向かって4日後、交通大臣シュルーフタ・ユーヴァニと総務大臣アルノルフ・ヴァルター、そして警務大臣アルベルト・タオブンの3人は大臣用談話室でここまでの成果を話していた…… ユーヴァニ「この五年で鉄道網もだいぶ整ってきたな」 ヴァルター「ですね」 ユーヴァニ「良くぞここまで本当にトントン拍子で進んできたものだ」 ヴァルター「全くその通りです」 ユーヴァニ「うまく行きすぎて少し薄気味悪い」 ヴァルター「何か起こるよりかはマシでは?」 ユーヴァニ「それはそうなんだが、ここまで全てが上手くいくと、そろそろぶり返しがありそうでな…」 ヴァルター「やめてくださいよ縁起でもない」 ユーヴァニ「まぁ冗談だ。高出力ナントカ砲台も完成したし、警務省の戦力も増えてるらしい。これだけ守りを固めれば、そうそうやられる事も無いだろう」 タオブン「我々の出番が無いことを願うばかりですが…まぁ、なにかあってもうちの戦力で完璧に守りきってみせますとも」 5年前の巨大生物襲撃以後、特に問題も無く事が進み、政府要人の間では慢心に近い状態が広がっていた____ ーーーハーマリア星系 帝国軍第二艦隊ーーー ハーマリア星系制圧の為発進した帝国軍第二艦隊は、特段の障害無く星系を掌握、後に合流する星系防衛艦隊への引き継ぎの為に待機している状態だった。 艦長「司令、本艦前方に未知の光点を確認」 デルニラッツェ「なんだ?あの光…。レーダーに反応は」 観測員「それが、先程から電波障害の様な物が発生しており不調が続いています」 艦長「如何されますか」 デルニラッツェ「全艦に警戒配置を伝達。光点は脚の早い宙雷戦隊に見に行かせろ」 艦長「はっ!」 デルニラッツェの指示により、艦隊は非常時に備え警戒体制を取り、別途指示を受けた宙雷戦隊が光点の調査に動く。 戦隊長『こちら第一宙雷戦隊。辺り一帯に点滅光を確認、不規則に並んでいます!』 デルニラッツェ「詳細はわかるか?」 戦隊長『空間ブイの様な物にも見えますが…、どうにも嫌な予感がします』 デルニラッツェ「嫌な予感?」 戦隊長『なんというか、こう..…どこかで―』 突如として通信が途絶え...

第5話 国と民

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 国内で様々な事が進められる中、海賊艦隊と戦闘の有った宙域を調査していた第二艦隊第二一駆逐戦隊が、未知の技術を使用する敵艦と遭遇。 これを巧みな戦術で拿捕し、本国へ移送する事に成功したのだった____ ーーーアジトーーー 海賊代表「我々の艦体が壊滅しただと…!」 海賊副代表「辺境の弱小国家の筈では無いのか!」 海賊「帰還してきた旗艦含めた複数艦を除き、艦隊は壊滅、残留していた次元艦も通信が途絶しています…」 海賊「ポルトメルシアで追い返す事が出来たのが、最早奇跡だったのでは…」 海賊代表「ッ……!!」 海賊副代表「■■■国の使者よ、今一度貴国のお力をお貸し願えないだろうか」 工作員「馬鹿も休み休み言え!役立たずと言われた元兵士の貴様達にどれだけ施しをしたと思っている!」 工作員「兵士としても海賊としても三流の貴様等に、我が国が危ない橋を渡ってまで支援してやったのは、貴様等があの宙域を知り尽くしているからだと豪語したからでは無いか!!」 工作員「貴様等の言葉を信じ、最後の情をかけてやったにも関わらずあの惨敗、何とも嘆かわしい限りだな?そうは思わないか?」 海賊代表「………」 工作員「皇王陛下は既に貴様等を見限られた。以後、我が国から貴様等への施しは無いと思え。」 海賊代表「お、お待ち下さい!!我らに策がございます……」 工作員「ほう?それは、此度の失敗を覆せる程の物なのか?」 海賊代表「無論です…。しかしながら時間が入ります。一度、私の方から皇王陛下へ上奏を賜りたく…」 工作員「良いだろう、時期が整い次第こちらより使者を遣わす。」 海賊代表「ありがとうございます……」 海賊達は、先の戦闘での敗戦について、何者かの国家より叱責されている状態だった… 彼等に残された道は無く、今は力を蓄え、時期に備えているのであった____ ーーー惑星ヴィルディア 首都クルクラシアーーー カルラン暦元年3月26日 彼ら旧セカンド・オーダーがヴィルディアへ入植してから2ヶ月が経過していた…… この日、内務卿マリウス=トイアーは帝都の開発状況の報告の為、総統臨時官邸総統執務室を訪れていた。 クルーク「この星に入植して2ヶ月余り、帝都は着々と都市化が進んで居るようだな。」 トイアー「はい。帝都開発に併せ、地方の開墾計画も総統府麾下の交通省・総務省の合同で進めている状態です。」 クルーク「...

カルラディア帝国 第一次防衛計画

  カルラディア帝国 第一次防衛計画 カルラン暦元年 三月 帝国軍総司令部 並びに警務省 前文  本計画は、我が国の防衛力強化及び全シュリウシア統一に向けた準備を行う為に策定す るものである。帝国各部門は、本計画に従い、防衛体制の構築を進めること。  第Ⅰ章 本邦の現状について  我が国は、建国から間もない現時点において、今後の方針を決めるにあたり、以下に記す現有戦力及び本邦周辺での遭遇可能性が考えられる脅威を考慮し、これに対抗し得る戦力を整備することを第一の目標とする。 ① 現有戦力    ・戦闘艦艇:計63隻  ハイ級航宙駆逐艦 24隻  デストリア級航宙重巡洋艦前期型 29隻  デストリア級航宙重巡洋艦 4隻  メルトリア級航宙巡洋戦艦 2隻  クリピテラ級航宙駆逐艦先行生産型 4隻 ・補助艦艇:輸送船20隻の計20隻 ② 本邦周辺での遭遇可能性が考えられる驚異 ・海賊、敵対生物、ガミラスの遠征軍及び追撃軍、その他 第Ⅱ章 本邦の方針  我が国は、未開の地に建国してから間もない生まれたての国家である。それ故に、第一には本国の防衛を考えなければならない。しかしながら、同時に、国家の今後の発展と存続の為には人口と資源の確保が急務である。これらを早期に確保するため、我が国は将来的には、カラーディ星系外部への進出を行う。これは、敵対する実力組織の無力化と土地及び人民の制圧を主眼に置くものであり、積極的な殲滅や破壊を目指すものではない。  我が国は、以上の方針に従い、計画遂行に必要な戦力を以下の通り位置づける。今後の装備開発及び戦力整備にあたっては、これらの要求を満たすものを企画すること。 ① 必要な性能 ・航宙兵力:ガミラス艦を大破させ得る火力及び徹底した通信の妨害を可能とする装備を搭載するもの。また、威圧の為の大口径大火力大量破壊兵器を装備するもの。ただし、後者の装備は戦略上やむを得ない場合に限り、司令官の指示のもと使用できるものとする。 ・陸上兵力:敵の戦力が配備された土地に降下し、的確にこれを無力化し、制圧できる装備を搭載するもの。また、現地に降り立った我が軍の兵士の安全を確実に守ることができるもの。また、本星に配備する兵力として、本星の治安を維持し、外部からの脅威に対し対抗する最後の砦となり得るもの。 ・航空兵力:敵地の制...

第4話 栄光と技術の躍進

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 地球暦2190年(カルラン暦元年)カルラディア帝国が建国された。 新国家の建国直ぐに、ハーマリア星系で遭遇した敵海賊艦隊が襲来。 クルーク指揮の元、これを返り討ちにしたのであった____ ーーー惑星ヴィルディア 表彰式ーーー 海賊との戦闘が終結して3日、先の戦闘で特に優秀な活躍をした士官数名に対し、勲章の授与が行われる事が決まった。 式典は総統府臨時庁舎にて執り行われる。政府幹部・軍幹部出席の元、宣伝省主導で国民にも同時中継が成される事となった____ クルーク「諸君、先日の戦闘、ご苦労であった。此度の戦闘では、諸君の活躍により敵を撃退する事に成功した。それに加えて敵戦闘艦の拿捕、多数の捕虜を取ることが出来た。お陰で奴らが何者であるか、それを調べられる。皆の活躍に心から礼を述べたい。ありがとう。そして、諸君等の中でも特段の活躍をした者達に、"特別戦功勲章"を授与したく思う。」 トイアー「これより、総統閣下から選ばれた勲章授与者の名前を呼ばせて頂きます。呼ばれた方より順に、壇上へお上がり下さい。」 トイアー「宙軍参謀本部長、コドルヴォ・ナタ・シナノ。航宙艦隊司令、ベルンシュタイン=フクス=セト。艦隊旗艦ロドルフィア艦長、ヨルゼナーフ・ゲルベリウス。デストリア級デストロイ艦長、シュッツ・ベルンハルト。以上の4名は、壇上へ」 名前を呼ばれた者達がシナノ参謀長を先頭に順々に壇上へ上がり、クルークの前へと並び、先頭から順に勲章を授与して行く。 クルーク「コドルヴォ・ナタ・シナノ宙軍参謀長、貴官が立案した作戦は極めて効果的な物で有った。あの作戦が無ければ我が方が負けていた可能性もある。これからも、我が帝国の為に尽くして欲しい。受賞おめでとう。」 シナノ「ありがとうございます、総統閣下。一層奮起し、帝国の為に尽くします!総統万歳!」 クルーク「ベルンシュタイン=フクス=セト艦隊司令。奇襲艦隊への的確なタイミングの指揮、素晴らしいものだった。あの奇襲攻撃が成功し無ければあそこまでの戦果は獲られなかっただろう。これからも我が軍をよろしく頼む。受賞おめでとう。」 セト「ありがとうございます。今後も一層励みます。総統万歳!」 クルーク「ヨルゼナーフ・ゲルベリウス大佐。貴官の的確な指揮によって、艦隊は敵を一網打尽にする事が出来た。心より感謝を捧げたい。受賞おめでとう。...

第3話 芽吹き、新たな試練

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ヴィルディアへの入植が始まったその日から、ロドルフ以下のセカンド・オーダー幹部達は、新国家建国の為奔走していた__ 文官達は憲法の制作を開始し、マリウス・シュトラス=トイアー以下政治に精通した幹部達は暫定行政府として設置された"臨時統治機構行政局"にて新国家建国までの暫定的な内政を行っていた。 そして、シュティーア・シャーフ以下の技術陣は回収したゲシュ=タム・コアの安全な解析の為に、カラーディ星系第9番惑星"ハーデッシュベルト"に移送し解析作業に入っていた__ ーーー2/22ーーー 地球暦2190年2月22日、この日、臨時統治機構行政局施設内で、ロドルフ・クルークが新国家"カルラディア帝国"の建国宣言文書に調印した。 トイアー「閣下、いえ総統。建国式典は予定通り3月1日に開催する手筈になっております。」 クルーク「そうか。臣民への周知はどうなっている?」 シャーフ「現在進めている状態であります。本日総統が建国宣言文書へ調印なされたことも臣民へ知らせる予定です。」 トイアー「ただ…、憲法の制作が少し手間取っておりまして。3月1日迄には完成する見込みなのですが、ギリギリになってしまうとのことです。」 クルーク「構わないよ。間に合うのであれば問題は無いさ。他に何か問題は起きているか?」 トイアー「いえ、現状他には聞いていません。」 クルーク「宜しい。マリウス、憲法制作に取り掛かっている文官達へ、決して無理はせぬようにと伝えてくれ」 トイアー「はっ!!」 ロドルフが建国宣言文書へ調印したこと、そして国名が"カルラディア帝国"となった事は、その日の内に全臣民へ伝えられた。 それに併せて、以前より告知されていた建国式典の日程について改めて告知されたのだった。 ーーー建国前夜ーーー 建国式典が明日へと迫ったその日の深夜、クルークは中々寝付けず総統用臨時邸のバルコニーで夜風に当たっていた クルーク(ガミラスを離れて5年……。これまで"殿下が生きておられれば"と何度も考えてきたが……、これからはそうも考えていられなくなる…。明日、臣民へ宣言をしてしまったら戻ることは…、いや、宣言文書に調印した時点でもう戻ることは叶わないのだ。私に出来ることは、覚悟を決めて前へ進むことだけだ。要らぬ不安...

第2話 始まりの光 カラーディ

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元ガミラス、セカンド・オーダーのクルーク 一行はポルトメルシアで遭遇した海賊と思われる敵からの襲撃に遭う。 苦楽を共にした艦艇を何隻か失いながら緊急ワープを敢行。事なきを得たのであった…… ーーーワープアウトーーー 艦隊旗艦"ロドルフィア"艦橋 航海長「ワープ終了、艦体に損傷認めず」 艦長「レーダー・スキャナー直ちにチェック! 空間座標照合!現在位置の特定急げ!」 乗組員「レーダー・スキャナー、共に反応無し、敵影を認めず。」 乗組員「空間座標照合完了。現在位置を確認、カラーディ星系です!」 クルーク「カラーディ……太古から存在する星系…… ガミラスと関係があると噂されていた星系だな」 副長「閣下、第4惑星ヴィルディアのスペクトル及び大気・表面温度等の条件がガミラスに類似しています。これならば、我らの移住先になり得るかもしれません。」 クルーク「そうか。副長、直ちに調査隊を編成。この星系の詳細な情報を調べてきてもらいたい。」 副長「はっ!調査隊を編成、星系を調査します!!」 クルーク「艦長、艦隊は一度この宙域にて待機する。ハーマリア星系を離れたとはいえ、何時またあの敵が襲ってくるかわからない。全艦に警戒を厳とする様に伝えよ。」 艦長「はっ!!」 クルークの指示で、即座に調査隊が編成され、カラーディ星系の調査が開始された。第4惑星ヴィルディアはガミラスと似た条件を持つことがわかり特に念入りな調査が成された。 ーーー3日後ーーー 副長「閣下、調査が終了致しました。」 クルーク「そうか、結果はどうか?」 副長「はっ!惑星ヴィルディアは、予測通り我らが居住可能な惑星でした。」 クルーク「そうだったか…。ご苦労だった、副長。調査隊にも労いの言葉を掛けておいて欲しい。」 副長「はっ!皆喜びます!」 副長「それと、併せての報告なのですが、ヴィルディアには2つの衛星が在り、内一つにシェヘラザードらしき艦影と何かしらの基地と思われる建造物を確認しました。」 クルーク「シェヘラザードとは、イスカンダルの"あの"シェヘラザードか?」 副長「はい、全くの同型と思われます。月に関する情報は、先にお伝えした方がいいかと思いまして、まだ調査はしておりません。」 クルーク「そうか、改めてご苦労だった。下って構わない」 副長「はっ!失礼致します!」 副長が、クル...

第1.5話 蒼き杜に芽吹くもの

子どもの頃、いつもおとぎ話に出てきた星がある。 はるか昔に輝いた星がいて、その星の祝福が航海に出る人の道標になった。故郷の星に近くて、その傍で輝いているその星を、人々は航路の神“ハーマリア”と呼んだ。 ハーマリアは、いつも航路を見守っていた。だけども、人々は故郷の星へ帰る時の道標にしか思っていなかった。 いつしか故郷の星に嫉妬したハーマリアは、有り難みを理解させようとして巨大な輝きと霧の海で故郷の星への航路を覆ってしまったのだ。 それで、人々は故郷に帰れなくなってしまったのだと…。 今、私の目の前にあるのはそのハーマリア星。そして、真下にあるのはハーマリアの惑星“ポルトメルシア”。最近になって発見された惑星は、当初予測されていたより安定した温度の星だった。 観測によると、ハーマリアは原始星からTタウリ型星になったばかり。つまるところ、原始星末期に起きた出来事が神話として記録されたのだろう。つい、歴史学肌の私はそう帰結させてしまった。 だけども、現実の冒険というものは常に私の予想を超えてくる。それはセカンドオーダー成立以降の私の目の前で起きたことを総括しての帰結だ。 滅びに瀕した民族を憂い閣下に率いられた我々の一行は、さらに険しい道に踏み入れていた。そして、やっと見つけた光明が神話に出てきたハーマリア星だった。 私の経歴は社会科教員から官僚になり、そしてまさかの冒険家になった。ハーマリア星系第3惑星をポルトメルシアと名付けた閣下に、不確定だが先見の名を感じてしまった。星系の主はまだ原始星から毛の生えた程度で、もっと隕石とか散乱してるはずなのだ。 だけども海があり、人が住めるだけの大気がある。 これがどれだけの恵みか、惑星科学の基礎が絡む歴史科まで教えてきた者としては、ここで子どもたちに授業を開きたい程だった。 だけど、調査隊としては子どもたちを生かせられない。先生が安全確認をしなければならない。これ以上仲間に空腹や渇きで苦しんでほしくない。 調査隊に志願した私と、小さな小鳥の艦長は一隻のハイ級を率いポルトメルシアに降りた。 大気にぶつかった時に起きる熱と輝き、いつも降下する時は肝を冷やす。されどそれが終わった時の、一種の重圧から解放された感覚は自分がまだ無事であることを証明している。 「艦隊各部、異常はないですか?」 「機関室、正常です」 「第一から第七ブロック、異常...