第6話 戦火の帝都
国家としての基盤が整ったカルラディア帝国は、ついに資源獲得の為にハーマリア星系の制圧に乗り出した____
ーーーヴィルディア 総統府ーーー
カルラン暦6年2月1日、第二艦隊がハーマリア星系へ向かって4日後、交通大臣シュルーフタ・ユーヴァニと総務大臣アルノルフ・ヴァルター、そして警務大臣アルベルト・タオブンの3人は大臣用談話室でここまでの成果を話していた……
ユーヴァニ「この五年で鉄道網もだいぶ整ってきたな」
ヴァルター「ですね」
ユーヴァニ「良くぞここまで本当にトントン拍子で進んできたものだ」
ヴァルター「全くその通りです」
ユーヴァニ「うまく行きすぎて少し薄気味悪い」
ヴァルター「何か起こるよりかはマシでは?」
ユーヴァニ「それはそうなんだが、ここまで全てが上手くいくと、そろそろぶり返しがありそうでな…」
ヴァルター「やめてくださいよ縁起でもない」
ユーヴァニ「まぁ冗談だ。高出力ナントカ砲台も完成したし、警務省の戦力も増えてるらしい。これだけ守りを固めれば、そうそうやられる事も無いだろう」
タオブン「我々の出番が無いことを願うばかりですが…まぁ、なにかあってもうちの戦力で完璧に守りきってみせますとも」
5年前の巨大生物襲撃以後、特に問題も無く事が進み、政府要人の間では慢心に近い状態が広がっていた____
ーーーハーマリア星系 帝国軍第二艦隊ーーー
ハーマリア星系制圧の為発進した帝国軍第二艦隊は、特段の障害無く星系を掌握、後に合流する星系防衛艦隊への引き継ぎの為に待機している状態だった。
艦長「司令、本艦前方に未知の光点を確認」
デルニラッツェ「なんだ?あの光…。レーダーに反応は」
観測員「それが、先程から電波障害の様な物が発生しており不調が続いています」
艦長「如何されますか」
デルニラッツェ「全艦に警戒配置を伝達。光点は脚の早い宙雷戦隊に見に行かせろ」
艦長「はっ!」
デルニラッツェの指示により、艦隊は非常時に備え警戒体制を取り、別途指示を受けた宙雷戦隊が光点の調査に動く。
戦隊長『こちら第一宙雷戦隊。辺り一帯に点滅光を確認、不規則に並んでいます!』
デルニラッツェ「詳細はわかるか?」
戦隊長『空間ブイの様な物にも見えますが…、どうにも嫌な予感がします』
デルニラッツェ「嫌な予感?」
戦隊長『なんというか、こう..…どこかで―』
突如として通信が途絶え、艦隊の正面方向に閃光が走った。
光点の有った一帯が爆発したのだ。
通信士「宙雷戦隊との通信途絶!!」
デルニラッツェ「何が起こった!?」
通信士「わかりません、いきなり爆発して…」
謎の光点は機雷であった。
宙雷戦隊は機雷に接触していない。つまり、何者かが遠隔で起爆したと云う事である。
デルニラッツェ「全艦戦闘配置!レーダー、まだ復旧しないか!」
観測員「レーダー依然として不調!」
デルニラッツェ「レーダー光学モードに切り替え!宙測、次元ソナー起動!」
観測員「光学モード、切り替えた!」
宙測員「次元ソナー起動。………次元キャビテーション探知!12時方向より大型魚雷二、急速に近づく!」
デルニラッツェ「対空防御。弾幕を張れ!」
観測員「レーダー目標探知!大型魚雷八、後方より近づく!」
デルニラッツェ「回り込まれたか…」
観測員「艦隊両舷よりも大型魚雷多数接近!」
デルニラッツェ「回避行動!各艦散開、応戦用意!」
艦長「回避行動!取舵20、下げ舵15、機関全速!」
観測員「艦隊全周に多数の反応!海賊共です!」
デルニラッツェ「やはりな…、しかし、これまで以上に統率が取れている……。やはり閣下の仰る通り…」
宙測員「新たな次元キャビテーション!敵次元潜と思われる!」
デルニラッツェ「数は!」
宙測員「……数二!12時方向!」
デルニラッツェ「二一駆逐隊を対潜陣形で当該宙域へ向かわせろ!主力は態勢を立て直す、アステロイドまで全速退避!本艦へ続かせろ!」
艦長「はっ!!」
デルニラッツェ指揮の基、第二艦隊第二一駆逐戦隊は対潜陣形で敵次元潜の炙り出しに動き、他の艦艇はアステロイドに逃げ込む形で態勢を立て直す。
この時デルニラッツェには、5年前のデストリア級を一撃で屠った武器の存在が抜け落ちていた。
結果、この後の惨劇を生むことになる。
デルニラッツェ「艦隊、突撃陣形!敵戦列を強行突破する!!」
艦長「全艦突撃陣形!本艦が先陣に立つ!」
デルニラッツェの指示を受け、艦隊が突撃陣形を組み、メルトラーデンが先陣となり突撃を開始した。
亜光速で突撃してくる艦隊に、海賊達は対処しきれず、第二艦隊が優位に立ったと思われた。
しかしその直後、反転し再度突撃をする為減速した隙を突いて、以前使用された敵の強力な兵器が艦隊を直撃。約4割の艦艇が撃沈又は大破へと追い込まれた…
デルニラッツェ「これは5年前の武器……!奴ら、あれを量産したのか!!」
観測員「艦隊被害甚大!!二一駆逐隊壊滅!」
デルニラッツェ「残存艦艇を再集結させろ!」
艦長「どうされるのですか?」
デルニラッツェ「ここからならポルトメルシアが近い。奴らも星までは破壊出来んだろう。」
艦長「ポルトメルシアに逃げると言うわけですか」
デルニラッツェ「そうだ。幸い彼の星は緑が豊富で、艦体色との相性が良く天然の迷彩になる。少しは奴らを撒く事が出来るだろう。その隙に本国へ救援要請を行う」
艦長「了解しました!」
デルニラッツェの機転により、残った第二艦隊はポルトメルシアへ全速で移動。
自慢の脚で一時的に敵を振り切り森林地帯へ強行着陸し、本国へ緊急救援要請を送った。
第二艦隊から緊急救援要請を受けた本国は、ハーマリアに第一艦隊を派遣する事を決定。
しかし、この判断が直後の悲劇を生むこととなる。
ーーーカラーディ星系ーーー
第二艦隊がハーマリア星系で死闘を繰り広げる中、海賊艦を含む敵の艦隊が星系内で息を潜めていた……
海賊「お頭!奴らが星を出ました!」
頭領「"宰相閣下"の予測された通りか。全艦発進準備!奴らのジャンプと同時に母星へ一斉に仕掛ける!!」
海賊「「「アイ・サー!!」」」
全ては敵の策略だった。
海賊のバックに居る国家が彼らを再度支援し、更にはその国家の艦艇も一部繰り出してヴィルディアの制圧に乗り出したのだ。
しかし本国、そしてハーマリアに居る誰も、その事に気が付いて居なかった……
ーーーポルトメルシアーーー
通信士「上空にジャンプ・アウト反応確認、第一艦隊です!」
デルニラッツェ「来てくれたか」
通信士「ロドルフィアより入電」
デルニラッツェ「パネルに回せ」
通信士がメルトラーデンの通信パネルにロドルフィアからの映像を写し、ロドルフィア艦長ゲルベリウスとの交信を行う。
ゲルベリウス『第二艦隊…、良くぞ無事で……。状況はどうなっていますか』
デルニラッツェ「艦隊損耗率はおよそ6割、第二艦隊は機能停止寸前だ」
ゲルベリウス『嵌められた訳ですな…』
デルニラッツェ「お恥ずかしながら。総統に合わせる顔が御座いません…」
ゲルベリウス『いえ、貴官は良く戦われたと思います。ですが、後は我等におまかせを。第二艦隊は用意が整い次第帰還を』
デルニラッツェ「かたじけない…。大佐、奴らは5年前の強力な武器を量産した様です。武運を祈ります。」
ゲルベリウス『情報の共有感謝致します、司令。どうか本国へ無事の帰還を』
互いに敬礼を交わし、交信を終える。
万全の態勢を整えてきた第一艦隊は、一斉に攻勢を開始。
第一目標である第二艦隊の帰還支援の為、多少の犠牲を省みぬ強硬策に打って出た。
その甲斐有って、第二艦隊の残存艦艇は惑星内でゲシュ=タム・ジャンプに突入、カラーディへの跳躍に成功した。
第一目標の達成を確認した第一艦隊は、第二目標である敵艦隊の一掃に移る。
技術開発局と科学技術庁が協力し完成させた試作型次元潜航艇を軸に、高速奇襲戦術を用いて敵艦隊を翻弄。
しかし、妙なタイミングで敵艦隊の撤退が始まった。
ゲルベリウス「なんだ…、奴ら、なぜこのタイミングで引く。どう考える、副長」
ゲルニングルース「そうですね…。例えば、ここでの戦闘自体が大規模な陽動であった…とかでしょうか」
ゲルベリウス「陽動……………、まさか、奴ら!!」
ゲルニングルース「どうされました?」
ゲルベリウス「副長の言ったことを仮に真実だとする。奴らが引いた理由。もしその理由が、本星への攻撃が成功したからだとすると」
ゲルニングルース「本隊は既にヴィルディアに!!」
ゲルベリウス「まずいぞ…。レーダー、敵は全艦引いたのか」
観測員「はっ、現在確認できる限りではありますが」
ゲルベリウス「よろしい、全艦緊急ジャンプ!本星が危険だ!!」
ゲルベリウスの考えは当たっていた。
第一艦隊が出撃した直後、ヴィルディアは敵の攻撃を受けていた。
本星大気圏内に侵入を許し、各地に甚大な被害をもたらしていたのだ____
ーーーヴィルディアーーー
第一艦隊が出撃してから20分程が経過した時、ヴィルディア全土に突如として警報が鳴り響いた。
トイアー「総統!緊急事態です!」
クルーク「何が有った」
トイアー「敵が本星に侵入!奇襲です!!」
クルーク「奇襲だと!?」
アンジェロ「閣下、直ちに避難を」
クルーク「ならん!総統が真っ先に逃げられる訳無いだろう!」
アンジェロ「しかし、総統を失えば我が国は立ち行かなくなります!!」
クルーク「だからこそ、私が前線に立つのだ!統合軍令部に行くぞ」
「「はっ!」」
クルーク等が外に出て移動を開始した時、帝都は既に戦火に包まれつつあった。
入植してから、民達が汗水垂らしながら拡げ、造り上げて行った帝都は、無惨にも破壊されていった……
クルーク「民が命を削り築いた帝都を……カルラディアを……っ!」
トイアー「ここに留まっては危険です、迎えの車両も来ております。直ぐにご乗車下さい。」
クルーク「判った。現在軍の指揮は誰が取っている」
アンジェロ「軍令部長官と総合参謀長が取られている筈です」
アンジェロがそういった直後、トイアーの秘書官が彼に耳打ちをした。
その直後、トイアーの顔色が一気に蒼白に近いものに変わった。
その様子を見ていた二人も、何かしらの重大な事が起こったのだと察せる程には。
トイアー「…閣下、ご報告しなければならないことがあります。」
クルーク「なんだ?」
トイアー「...軍令部庁舎に直撃を受け、長官及び参謀長を含む職員は壊滅。両名は既に死亡が確認されたとのこと」
クルーク「何だと!」
トイアー「既に各軍に混乱が広がりだしています…」
クルーク「今現在無事で且つ指揮が取れる場所は!」
トイアー「総統府地下臨時指令所がまだ使える筈です!」
クルーク「直ぐに向かうぞ!マリウス、マーク、着いてこい!」
「「はっ!」」
行先を軍令部庁舎から変更し総統府の地下指令所に移したクルーク等は、全軍の状況把握に乗り出し、その惨状を目の当たりにした。
海賊共に対応する為に出撃した予備艦隊はその8割を喪失。全滅は秒読みとなり、対空陣地として形成された高出力陽電子砲台は建設中の物を除いてその全てが破壊され、敵に一矢報いようと出撃した陸軍は、ルバリアス、サルバー含めて甚大な被害を受け、航空基地の大半は壊滅、最早戦闘能力は残されていないに等しかった……
クルーク「最早ここまでの被害とは……」
アンジェロ「手酷くやられましたな、これは…」
トイアー「閣下!空軍参謀長クラーヴィリ・コシュカ大将が来られました!!」
クラーヴィリ・コシュカ、嘗てガミラス大公国軍で空軍軍人を勤めた生粋のマティウス派軍人であり、シャーフの軍創設と同時に空軍の全権を総統より委任され、今に至るまで新型戦闘機開発等にも力を注いできた人物である。
コシュカ「遅くなって申し訳ありません、総統」
クルーク「コシュカ君。いや、君が無事なのは何よりだが……、我が国にはもう、戦う力は…」
コシュカ「いいえ、まだ残っています。たった一つ、我が国の切り札が。」
アンジェロ「切り札?」
コシュカ「えぇ、我が空軍は技術開発局協力の下、制空・対地・対艦戦闘が可能なマルチロール戦闘機を開発してきました。構想自体は放浪中に固まっていた事もあり、既に10機程が各種試験の為にロールアウトしています。」
トイアー「新型の戦闘機!その新型は直ぐ使えるのですか?」
コシュカ「勿論です。ヴィラーディ郊外に、新型機試験用に建設された秘匿基地があります。彼等は今、そこから出撃命令を待っている状態です。」
クルーク「ヴィラーディの秘匿基地……。そうか、あそこも完成していたのか。」
コシュカ「はい、完成はつい先月の事でしたので、報告が遅れて申し訳ありません。」
クルーク「いや、構わないよ。コシュカ君、総統命令だ。新型戦闘機……名前は何だ?」
コシュカ「はっ!ベルケンメイデンであります!」
クルーク「ベルケンメイデンか。ベルケンメイデン…、ベルケン…、メイデン…、うむ、ベルメイで行こう!コシュカ君、ベルメイ隊に出撃許可!帝都にエンジン音を轟かせ、奴らをここから叩き出すのだ!」
コシュカ「はっ!!ヴィラーディ秘匿基地に命令、ベルメイ隊出撃せよ!!」
総統の命令を受けたヴィラーディ秘匿基地から、10機の試作型ベルケンメイデンが出撃。
10機と言う少数では有ったが、パイロットはこの機体の特性を理解し、自身の手足の様に操ることが出来るようになっていた。
性能は海賊と共に来た戦闘機より劣って居たが、機体の性能だけが戦局を決定づける事が無いように、巧みな操縦技術で相手を翻弄し徐々に戦果を挙げていった。
クルーク「あれがベルメイ……何と美しく、そして優美な機体だ…」
アンジェロ「まるで女神が舞っている様です。」
地下指令所のモニターでベルメイの奮戦を見ていたクルークとアンジェロはそう言葉を零した。
実際、ヴィルディアの晴れた綺麗な空にはベルメイが戦闘の最中に引いたベイパーが浮かび、その戦いの激しさを物語ると同時に、空を美しく彩っていた。
だが奮戦も虚しく徐々に徐々にベルメイ側が押され始め、一機また一機と墜とされてゆき、残ったのは3機のみとなっていた…
"最早勝機は無い”と誰もが考え始めたその時、上空から攻撃を仕掛けていた敵が突如として爆発を起こし沈み始めた。
クルーク「一体…何が起きたのだ……」
トイアー「閣下!シナノ参謀長から入電です!宙軍司令部は生きています!!」
クルーク「!直ぐに回線を開け!!」
司令部施設の中で唯一生き残っていた宙軍司令部からの入電、それは少なからずその場に居た者たちに希望を見せた
シナノ『閣下、ご無事で何よりです』
通信を開き、モニターに司令部の様子が移ると、その場に居た者たちはその様子に絶句した。
司令部内は瓦礫が満ちており、出火はしていないものの、後ろからは悲痛な声が響く。
そして、シナノ参謀長は負傷しているのか頭から血を流していた。
クルーク「シナノ君……、無事なのだな?」
シナノ『ご心配無く、私は軽症です。宙軍司令部は被害も他所より軽微で……。出せる艦も今は無いため、陸軍の一部と協力して負傷者の収容と手当を行っています。』
クルーク「そうだったか。」
シナノ『早速ですが、つい先程ヴィルディア上空にジャンプ・アウト反応を検知しました。識別によると第二艦隊です』
クルーク「彼らが帰ってきたのか!そうか……しかし…」
シナノ『第二艦隊は艦隊の状況こそ壊滅的ではありますが士気は旺盛。ここから巻き返せるやもしれません』
クルーク「判った。宙軍の指揮は君に任せる。他各軍と警備局はこちらで指揮を受け持つ。幸いつい先程タオブン警務相もこちらに合流した。」
シナノ『はっ!閣下、ご武運を』
そう言って宙軍司令部との通信が切れる。
第二艦隊の参戦から1時間足らずで第一艦隊もハーマリアより帰還。戦列に加わった事で、敵を一網打尽とは行かないまでも打撃を与えることに成功した。
頃合いを見て総統が敵軍司令官へ休戦を申し出ようとした時、これ以上の損害を出さぬ為か、敵軍が撤退する形でこの戦いは終結を迎えた。
結果だけ見ても、カルラディアは勝利とは言い難い状況だった。
いや、完敗したと言っても良いだろう。敵が損害を気にせずあのまま攻めていれば、ハーマリアの撤退が無くあのまま第一艦隊との交戦が続いていれば、カルラディア帝国と云う国家はこの宇宙から姿を消していただろう……
クルーク「トイアー、直ちに被害の状況を調べ上げてくれ、総統府総出で頼む」
トイアー「はっ、直ちに!」
翌日、総統府が総出で徹夜をしてまとめ上げた被害状況の資料を、トイアーが総統へ持ってきた。
決して軽い被害でないこと、どの様な被害であったとしても動じぬ様覚悟していた総統も、改めてその実情を聞かされると、動揺を隠せなかった。
トイアー「軍施設の被害は元より、此度は民間の施設・設備にも大きく損害がでており、帝都主要幹線道路は即時復旧が困難な状況に。帝都中央空港は空港施設が全壊、復旧の目処は立っていません。一応空軍設備については優先的に復旧作業が行われており、地方への救援物資の輸送などは明日にでも開始できるとの事。只、今回特に鉄道設備の被害が酷く、鉄道による物資輸送は当面困難となると考えられます。他、民間人にも多くの死傷者をだし、死者だけでも既に300名以上確認しております。今後の瓦礫の撤去作業なども踏まえればもっと増えるかと……」
クルーク「そこまでか……。トイアー」
トイアー「は」
クルーク「全ての戦没者を悼む為の追悼式典を直ぐに用意せよ。今のままでは臣民の暴動が起きかねん。」
トイアー「畏まりました。直ちに」
総統の要請を受け、総統府は直ちに戦没者追悼式典を計画。
先の戦いから5日が経過した2月8日、帝都中央大広場にて、厳かなれど盛大な追悼式典が行われた。
クルーク『戦没者諸氏。私は貴方方の事を、生涯忘れ得ぬだろう。此度の戦いは私の落ち度でもある。私が気がついた時には既に帝都は戦火に包まれ、ここに来た同志諸君の時間と汗の結晶は無惨にも破壊し尽くされ、何の罪もない同志が殺された……。私はこの日の事を忘れることは無いだろう。私は、君たちの”友”としてここに誓おう!!必ずや以前の帝都よりも栄、バレラスすら超えるような素晴らしい帝都を造り上げ、我が”友”の仇敵を討ち滅ぼす事を!!諸君、愛する者の死を、与えられた痛みを忘れてはならない!それを忘れること無く、彼らの為に立ち上がろうでは無いか!!』
−総統の演説には、魂の震えがこもっていた。かつてセカンドオーダーをまとめ上げ、独立を決意し、多くの者を連れ立って長き放浪の時を乗り越えた彼の言葉には、やはり不思議な力があるようだ。―マリウス・シュトラス=トイアーの日記
追悼式典を経たカルラディア帝国は、力を蓄えるべく休閑期へと入る。
今回の戦いを経た総統は、一つのある推測が確信へと至った。そして、これから起こる出来事を推測し、それすらも利用し国家の発展となるよう考えを巡らせるのだった___
ーーーシュリウシア銀河 ???星系ーーー
シュリウシア銀河中心方向に在るとある星系のとある国家。
そこの玉座の間で1人の男が元首に謁見を賜っていた…
「陛下、辺境への戦闘任務に就いた第608艦隊が帰投致しました」
「そうか…。成果はどうだ?」
「上々との事。戦闘力も申し分なく、建国して5年とは思えぬ発展具合だったそうです。」
「素晴らしい……。”宰相”」
「はっ。」
「我が国より支援の用意があると申し出よ」
「畏まりました。直ちに」
玉座の男から”宰相”と呼ばれた男が去ってゆく。
”宰相”が去った後、男の隣の玉座に掛けた女が口を開いた
「陛下も、酷いお方ですわね」
「ほぅ?」
「自ら彼の国……カララリでしたっけ?に攻撃を仕掛けたのに」
「カルラディアだ、我が妻よ。私の”慈悲”を見せるには、これ以上の無い良い機会であろう?」
「えぇ、彼の国が”カラクリ”に気付く事も無く、気がついたときには我が国の下僕に…フフフ、本当に悪いお人ですこと…」
「我が国が、この”フルクファーラント大皇国”が銀河の覇者となる、その為の礎となれるのだ。光栄なことだろう?」
「えぇ、全く」
シュリウシアを取り巻く大きな陰謀がその姿をカルラディアに、クルークに顔を出そうとしていた____
第7話に続く
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