第12話 暁に掲ぐ我が旗
マズロアと同盟を結んだカルラディアは、因縁の的フルクファーラントとの最終決戦に挑む。
当初の作戦通り同盟艦隊による突破口形成を受け、カルラディア突撃艦隊は敵皇都への降下を行おうとしていた。
ーーー連合艦隊 アーヘンドラッへ 艦橋ーーー
観測手「レーダー、新たな目標探知。目標群を敵航宙機と認む。」
シャーフ「フルクも航宙機を出してきたか…、対空戦闘用意!」
観測手「目標群、右舷より接近」
シャーフ「VLS諸元入力、対空砲座撃ち方始め!」
砲雷長「VLS諸元入力完了。発射用意良し!」
シャーフ「VLS攻撃始め!!」
砲雷長「Commence Fire,Salvo!!」
観測手「ミサイル命中せず、敵機急速接近!」
クルーク「回避運動!敵機は無視して降下を続行しろ」
シャーフ「閣下!!」
クルーク「私に考えがある。通信士、ロドルフィアに打電、『艦載機隊発艦セヨ』だ」
通信士「了解!」
フルクファーラント皇都強襲を目論むカルラディア第一艦隊は、鬼気迫る敵航宙機隊の攻撃に手を焼き、中々惑星への降下が出来ずに居た。
ーーーロドルフィア艦橋ーーー
ロドルフィアは、メルトリア級に艦載機搭載能力がある事により、緊急改装を施されたワンダス製航宙母艦を含む臨編航空艦隊の旗艦として艦隊後方に陣を敷いていた。
通信士「アーヘンより入電『艦載機隊発艦セヨ』です!」
艦長「了解した、艦載機発艦。通信士、各艦へ伝え!!」
01AP「セトメイ
セトメイ、それは新たに開発された試作型の艦載機。
大型爆撃機であるドルシーラを参考に設計開発され、試作型が現在20機生産されており、内12機が今次作戦に投入されている。
ーーーアーヘンドラッへ 艦橋ーーー
クルーク「敵艦に対してセトメイが魚雷を投射、敵の戦闘機にはセトメイの後部砲座とアーヘンドラッへの高機動対空戦闘により対処する。機関一杯、最大戦速!」
ーーーセトメイーーー
ロドルフィア及びワンダス空母から発艦したセトメイは、フルク空母を主目標に、艦隊の脅威と成り得る艦艇に狙いを定め雷撃を行おうとしていた。
01AP「01から各機、ブリーフィング通り、敵艦隊に雷撃、その後敵機迎撃に移る!」
他AP「了解!」
01AP「目標補足!…撃っ!!…………命中、撃沈確認!」
02AP「各機01に続け!撃っ!!」
ベルメイとほぼ同時期に開発が進められていたセトメイは、パイロットも熟練者となり、正に少数精鋭と言うに相応しい練度で立て続けにフルク艦隊を撃滅していった。
観測手「敵艦多数撃沈を確認。敵空母撃沈確実との事!」
通信士「艦長、マズロア艦隊司令より入電」
シャーフ「モニターに回せ」
マズロア司令『シャーフ艦長、友軍機の活躍で前面が空いた今こそ、皇都強襲の好機。後ろは我らに任せ、直ぐにでも降下すべきと考える。その上で一つ頼みがある。我らの輸送船団を皇都へ先導して欲しい』
クルーク「輸送船団?一体何をする気だ」
マズロア『革命運動の補助と運動非参加の民衆保護の為に使用する』
クルーク「承知した。シャーフ、降下準備完了次第、マズロア輸送艦隊を連れ降下に移ってくれ。通信士、"UD隊"に打電『ビュッフェ・パーティーは予定通り』だ。」
通信士「了解。…アーヘンドラッヘよりUD隊、"ビュッフェ・パーティーは予定通り"繰り返す"ビュッフェ・パーティーは予定通り"。健闘を祈る」
クルーク「航空隊は制宙戦闘を継続。クリピテラ、通常型ハイ、メルトリア、アーヘンを中心に、プランB-1に従い強襲艦隊を編成し、残った重装型ハイ、デストリア、ワンダス艦隊を中心に、プランB-2に従い高威力艦隊を編成。此処で一気に決めるぞ!!」
シャーフ「中央突破だ!艦隊紡錘陣形、最大戦速!」
航海長「機関一杯、最大戦速、宜候ー!!」
戦術長「各砲座射撃自由!撃ちー方ー始め!!」
砲雷長「撃ちー方始め!!」
アーヘンドラッへ率いる強襲艦隊は、多数の敵艦にダメージを与えつつ、皇都へ降下を開始した。
上空に残った高威力艦隊も、その数と火力を活かし、瞬く間に敵の数を減らしていった。
そして、降下する強襲艦隊に先駆けて皇都郊外のとある場所に何処からとも無く現れた者が居た__
ーーー潜層実験艦隊(UD隊)ーーー
突如、皇王私邸と宰相私邸の庭が揺らぐ。水面の如く変貌した次元境界面から顔を覗かせたのは、ハイ級の様な姿をした"潜層実験艦"であった。
隊司令「UD-
"潜層実験艦隊"。それは、総統府麾下の科学技術庁と帝国軍技術開発局の共同で開発され、先の戦いでも使用された新鋭戦略艦隊である。
この艦は、帝国建国初期に鹵獲した海賊の次元潜を解析して作られた艦であり、今次作戦における皇都強襲の要として投入された。
隊司令「全艦に達する。陸戦隊の揚陸を終え次第、急速潜航。深度700に付け亜空間魚雷にて敵本土の防衛システムへの攻撃を行う。」
皇都強襲の最大の目的は、皇王であるシアクヴァヌスⅡ世こと"シアクヴァヌス・ウィヌ・ファーラント"と宰相"クーゲルン・デ・ティーラー"の逮捕・拘束にあり、その為に帝国軍最強と名高い宇宙軍陸戦隊の3個小隊が投入される事となった。
2個小隊が皇王、そして宰相の拘束に、残りの1個小隊はフルクファーラント宮中制圧の任を与えられている。
第1小隊長「各員よく聞け。我が小隊は皇王の確保を、第2小隊はティーラーの確保を完了次第撤収する。第3小隊は敵中枢破壊の為宮中制圧及び閣僚の殺害任務だ。厳しい戦いになるだろうが全員生きて戻れよ。状況開始」
各小隊配置完了の報は既に皇都上空への強襲を成功させた強襲艦隊に届き、アーヘン艦内にてクルークが状況をモニターしている。
カルラディア側の勝利条件は皇王と宰相の確保、それが果たせなければ泥沼の戦いへと発展していく事は明白な事実であった。
クルーク「頼むぞ、陸戦隊諸君…」
―皇王私邸 第1小隊
第1小隊長「突入のタイミングは第2小隊と合せる」
第2小隊長『第2小隊、配置完了。突入用意良し』
第1小隊長「了解。…突入用意…5、4、3、2、1、突入!」
第1小隊長の合図と同時に、両隊はそれぞれの私邸へと突入を開始した。
―宰相私邸 第2小隊
突入直後に、邸内警護に当たっていた殺害対象を視認した小隊長は射撃指示を出し、ティーラーの警護を射殺。
9名居た護衛の内8名に弾丸を浴びせ排除した後、残った1名から宰相の居場所を聞き出すと、小隊は前進を再開した。
小隊長「
隊員達「「了解!」」
施設上層階へと続く階段へ一糸乱れぬ隊列を組み進んでいった。
小隊が2階まで駆け上がった直後、襲撃の知らせを受け待ち伏せいた護衛6名が小隊へ向けて発砲してきた。
隊員「3人被弾!…あぁ糞、KIA!」
隊長「
隊員「り、了解!」
隊長「2名排除確認。
隊員「手榴弾投擲!」
隊員1名が手榴弾を投げる。
護衛の足元に転がり落ちた手榴弾は、落下から2秒後に爆音共に炸裂した。
隊員「クリア!」
隊長「3,4分隊は反対から回れ。1,2分隊はこのまま前進する」
隊員「「「了解」」」
護衛を排除した第2小隊は、2手に分かれて廊下を進み、3階へ続く階段前へとやってきた。
隊長「ティーラーはこの先の筈だ。護衛も相当いるだろう。警戒しつつ前進」
隊員「「「了解!」」」
階段を登り、数名が踊り場を曲がると同時に、階段上で待ち伏せていた敵護衛が一斉に攻撃を仕掛けてきた
隊長「クソ、上を取られた!」
隊員「4人被弾、WIA1、KIA3!」
隊長「WIAは!」
隊員「
隊長「06は後退し―」
隊長が負傷した隊員に後退を促そうとしたとき、一人の隊員が安全ピンを抜いた手榴弾を持って飛び出した。
隊員「うぉおおおあああ!!!!」
隊長「06!馬鹿は辞めろ!戻れ!!」
隊員は、隊長の言葉が届くその前に手榴弾を投げようとするも、護衛の発砲によって頭を撃ち抜かれた死亡した。
隊長「伏せろ!」
隊長の言葉と同時に手榴弾が爆発した。
隊員「…06、KAI……」
隊長「馬鹿野郎!!」
隊員「……隊長、自分に突撃させてください」
隊長「馬鹿を言うな
隊員「お願いです、投げさせてください。他2分隊が直ぐ合流出来る保証も無い今、前に進むには…」
隊長「……………」
隊員「隊長!!」
隊長「………判った。02、12の突撃前に遺言を聞いておけ」
隊員「はっ……」
02が隊長からの指示を受け12の遺言を聞こうとしたその時、無線機から通信が流れる
隊員『12、馬鹿な真似はするんじゃねぇ。そんな必要もねぇ』
隊員「隊長、今のは!」
隊長「
階段下、踊り場の2個分隊と交戦を続けていた敵護衛の銃声が止み、階段は一気に静けさに包まれる。
2手に分かれていた事が功を奏し、反対から進んでいた2個分隊およそ20名が合流に成功し、行く手を阻んでいた敵護衛の排除に成功したのだった。
3階廊下で合流した第2小隊は、ティーラーの待つ執務室を目指し再び前進を再開した。
一方アーヘン率いる強襲艦隊は敵本土防衛システムの攻略に難航している状態だった。
シャーフ「なんとか中央突破は成功したが…、本土の防衛システムが厄介だな」
観測手「新たな砲台検知!光熱源、来る!」
通信士「ハイ級
シャーフ「退く訳には行かん……。UD隊はまだか!!」
シャーフが通信士へ確認を取った直後、展開していた敵本土防衛システムが大きな爆音と共に爆煙を巻き上げた。
通信士「UD隊より入電"目標破壊ヲ確認。LZヘ移動、待機スル"です!」
クルーク「よっっし…!UD隊がやってくれた!」
観測手「防衛システム、壊滅を確認。新たに検知せず」
航海長「進路クリア!前進、突撃します!!」
ーーー陸戦隊ーーー
強襲艦隊が本土防衛システムを突破した頃、第二小隊が宰相執務室の前に着き、既に突入を済ませていた。
が、部屋には誰もいなかった。
隊員「クリア!」
隊員「クリア!」
隊長「オールクリア…、どういう事だ…」
隊員「逃げたのでしょうか…」
隊長「それはありえん…ここは3階だ。窓から逃げるとも思えんし、通路は抑えている。」
隊員「では…」
隊長「必ず何処かにいる!探せ!」
隊員「はっ!」
第一分隊は再捜索も兼ねて執務室内を、他3分隊はそれぞれ3階を捜索することとなった。
捜索を開始してから10分ほどが経過した時、トイレを捜索していた第4分隊員が、一つだけ鍵の閉まった個室があることに気がついた。
隊員「……何故ここだけ鍵が…。分隊長!」
分隊長「どうした」
隊員「この個室だけ鍵がかかっています。恐らく」
分隊長「良し、こじ開けるぞ」
隊長の許可を得た隊員は、鍵の掛かった扉を蹴破った。
ティーラー「ひ、ひいぃぃぃ…」
そこに居たのは、便器にしがみつき、隊員たちに背を向けながらブルブルと体を震わせ怯えきっているティーラーであった
分隊長「"第4分隊より各分隊へ達す、目標発見。繰り返す、目標発見!目標は3階トイレ2番個室内!"」
隊員「うわっ!こいつ、ちびってやがるぞ!」
隊員「流石の宰相様も膀胱は恐怖に抗えないようだな。」
分隊長「フルクファーラント大皇国宰相、クーゲルン・デ・ティーラー。戦争犯罪容疑で逮捕する。同行してもらおう」
ティーラー「たたた、逮捕ぉ?わ、わわ吾輩は、い偉大なる相国であるぞ!き、きき貴様ら如きに、逮捕される言われ等無いわ!!?」
隊員「うるせえ!お前は黙ってついてくれば良いんだよ!!」
そう言った分隊員はティーラーを殴りつける。
それを見た他の分隊員達も"俺も俺も"と言わんばかりにティーラーの周りへと詰めかける
ティーラー「ひ、ひいぃぃぃ…」
分隊長「やめろ!!既に手錠も掛けこいつに戦える力は無い。無抵抗の人間を殴りつける等、帝国軍人の恥と知れ!!」
隊員「し、失礼致しました。分隊長」
隊員「し、しかし分隊長!こいつがふざけた奴を送り込んだせいで仲間の嫁さんや家族もひどい目に遭ってるんです!」
小隊長「馬鹿者!!!」
廊下に怒号が響いた。
怒号の主は小隊長だった。
隊員「しょ、小隊長!」
小隊長「戦場に在る人間が、感情で動くなと日々伝えているだろうが!!」
隊員「……」
小隊長「我々は知性なき獣か?理性なき愚か者か?違うだろうが!犯罪者は法が裁く。それは戦争犯罪者も同じだ。感情に任せた戦場での暴力は私刑だ!それは、規律守るべき軍人が超えてはならない一線だぞ!!」
隊員「し、失礼致しました……」
小隊長「
4分隊長「はい。既に抵抗は不可能です。」
小隊長「宜しい。小隊撤収だ。21、UDに無電"我レ、ティーラー確保。LZへ向カウ"」
隊員「はっ!」
第2小隊は無事宰相を逮捕し、予定のLZ(ランディング・ゾーン)へと向かった。
一方、皇王私邸に突入した第1小隊は、地上階で皇王や護衛を発見できずにいた。
隊員「第2小隊はティーラーを捕らえ、LZへ向かう様です。」
隊長「そうか、順調だな。……見つかったか?」
隊員「駄目です。各分隊とも護衛含め目標を確認できず!」
隊長「此処に居ない等と言う事が、有り得るのか…?」
隊員「隊長、面白そうな本がありますよ」
隊長「……03、任務に集中しろ」
隊員「す、すみません…」
隊長から叱られた隊員が、取り出そうとしていた本から手を離すと"カチッ"と云う音が鳴り、ゴゴゴと云う音を鳴らしながら本棚が動き出した。
隊員「う、うわぁぁあ!?」
本棚が横にずれると、その後ろから地下へ続く階段がその姿を現した
隊長「隠し、通路…!」
隊員「た、隊長!この先にもしかしたら!」
隊長「03、お手柄だ。小隊集結!」
小隊長の呼集を受け、それぞれ散らばっていた分隊が再集結する
隊長「隠し通路を発見した。この先に皇王が潜伏している可能性が大きい。非常時に備え第4分隊は地上階にて待機。それ以外の3分隊は地下へ進む。」
隊員「「「了解」」」
小隊長は万が一の事を考え、第4分隊のみ地上階にて警戒待機させ、残りの第1〜第3分隊で地下へ続く階段を下り、皇王の捜索を開始した。
下層へ近づくにつれて、徐々に金属音等の地下にそぐわない環境音が響いて来る。
遂に階段を降りきった小隊長は、目の前にある扉を静かに僅かばかり開け、中を軽く索敵する。
扉の少し先には、彼らの侵入を見越して設置したであろう機関銃陣地があり、そこには皇王の護衛と思しき7名が居た。
隊長「02、03、手榴弾投擲」
隊員「手榴弾投擲!」
隊員「手榴弾、投擲!」
投擲した手榴弾が爆発すると、護衛達の悲鳴、断末魔が聞こえた。
隊長「正面の機関銃は排した。MOVE!!一気に攻め込む!」
ボロボロになった機関銃陣地を抜けた先には頑強な扉で防護されているシェルターの様な部屋があり、その扉の前には5名の護衛が構えていたが、僅かな差で第1小隊が先に発砲し、制圧した。
隊長「チッ!カードキー型か」
隊員「銃で破れませんかね」
隊長「この扉は相当頑強に出来ている。俺らの銃じゃ無理だな。熱を加えるので精々だろう。」
隊員「隊長、護衛がカードキーを持っていました!」
隊長「よし、開扉用意。開扉後一斉突撃、構え!」
シェルターの扉を開ると同時に、転がっていた護衛の死体を盾にして一気に突入。
シェルター内には護衛が僅かばかりしか居らず、戦力差を見るや、護衛は銃を捨て降伏の意を示した。
シェルター内には護衛の他に皇王しか居らず、護衛が降伏した結果、皇王も無抵抗で確保されざるを得なくなった。
隊長「フルクファーラント大皇国皇王、シアクヴァヌスⅡ世陛下ですね。我々と御同行願います。」
皇王「余は逃げも隠れもせぬ。しかし…、野蛮人にも礼節と云うものは有るのだな。新たな発見が出来て何よりだ。」
隊長「……護衛を降伏させたのは貴方ですね?必要以上の犠牲を出さぬ様に」
皇王「余は何もしておらん。人数不利を悟ったコヤツらの慧眼よ」
隊長「そういう事にしておきます。02、第4分隊へ連絡。"目標確保。此レヨリ合流スル"」
隊員「はっ」
こうして、第1小隊と第2小隊に与えられた任務は完了し、宮中制圧の任を与えられた第3小隊に先んじて第1及び第2小隊は本国へ帰還する事となった。
通信士「UD-01から入電。"皇王、宰相逮捕セリ。先行シ帰投ス"です」
クルーク「一先ずは作戦成功だな。輸送艦隊と通信を繋げ」
通信士「はっ!」
クルーク「朗報です。我らが陸戦隊が、皇王並びに宰相の逮捕に成功しました。此れより我が艦隊は皇都上空を低空にて侵入、軍事施設に攻撃しつつ敵戦意を削ごうと思います。宮中については我が陸戦隊第3小隊が制圧中ですが、それも時間の問題でしょう。民衆の収容と革命の扇動の成功をお祈りします。」
マズロア揚陸船団司令官『承知した、様々感謝する。ここは我らに任せられよ』
マズロアよる民間人保護と革命扇動が遂に始まる。
マズロア兵「フルク国民諸君!!!既に皇王は倒れ憎き宰相も死した!!後は宮中に巣食う蛆を一掃するのみだ!!!!志あるものは宮中へ向かえ!!!革命の日は直ぐそこだ!!!立ち上がれ諸君!!!我らマズロアも諸君と共にあろうぞ!!!」
本土決戦開戦直後から一部革命家による闘争が発生していたが、その火種はまだ小さい物であった。
火が一気に燃え上がったのは強襲艦隊が惑星へ突撃をかけた時からである。
"野蛮人に殺される!"と逃げ惑う者も多く居た中で、宰相により半軟禁状態に在った皇太子を担ぎ上げた革命一派が国内放送をジャック。
フルク国民に宮中打倒を持ち掛けている中でのマズロア兵による革命の扇動。
燃え上がった火に油を注げばより燃え盛る。上の行いに怒り心頭の国民からすれば、国が変わるかもしれないチャンスを逃す筈も無く、その火は燃え盛る炎となって皇都中、国中に広がっていった。
その一方で、革命運動による余波を恐れ、身を隠す民衆も居た。
マズロア兵が扇動する中、そう言った人々を救うため、マズロア輸送船団は来たのだ。
マズロア乗員「席は空いている!!巻き添えを恐れる者は乗れ!!マズロアは来る者を拒まん!!!」
その言葉が響いてから、争いから逃れたい多くの民間人や既得権益者らが輸送艦へ詰めかけた。
そんな中には、騒動に紛れて逃げ延びたい政府官僚らも混ざって居り、一部の馬鹿な官僚が逃げ惑う民衆を罵倒した。
そんな事をすれば、官僚らに苦しめられてきた民衆の怒りが爆発するのも当然。
乗船口は暴動の嵐となった。
民衆A「何で手前みたいなのが逃げようとしてるんだ!一緒に国と死んじまえよ!!」
民衆B「あんたらのせいで家の娘は心を病んで自死したんだよ!!あんたらみたいなのがおめおめ逃げようなんて、娘に詫びながら死にな!!」
怒りが限界に達した民衆から受ける私刑で、官僚らは最早動いていなかった。
生きては居るのだろうが動けない程になっている。
自業自得ではあるが少し哀れにも思える程、私刑の様子は正に"地獄絵図"と呼ぶに相応しかった
マズロア乗員「どうします?船長」
マズロア船長「やむを得ん。官僚の乗船は辞めさせろ。民衆のみを乗せ離脱する。私刑も辞めさせろ」
マズロア乗員「はっ…」
官僚の乗船を禁じ、民間人のみを乗船させたマズロア輸送船は、乗員一杯になったのを確認すると、発進。
ショーゲツ島への帰路に着いた。
皇都上空にて戦闘を行なっていた強襲艦隊もこれの護衛に付き、一時的に戦線を離脱。
その隙を突いてか、高威力艦隊に猛攻が迫る。
強襲艦隊が事態を把握したのは、輸送船団が危険域から脱した頃であった__
ゲルベリウス「旗艦ホルネリアより至急、現場展開中の全友軍へ!敵増援ジャンプアウト、残存兵力と合流せり!我が方に被害!」
フルクファーラントの残存兵力は残り僅か…の筈であった。
突如として増援が宙域へジャンプし、残存兵力と合流したのだ。
これにより戦力差が一気に覆されようとしていた。
クルーク『アーヘン、クルークだ。ゲルベリウス、艦隊の被害状況は』
ゲルベリウス「現在損耗率37%、敵増援は現在も増加中!」
クルーク『皇都のUD-03に緊急指令を出した。亜空間魚雷の射程圏内まで敵を引きつけろ。我々も間もなくそっちに戻る。あと45分…いや、30分持ちこたえてくれ』
ゲルベリウス「承知しました!」
観測手「レーダー、新たな目標群探知!」
ゲルベリウス「なに!?」
観測手「目標群を航宙機と認!フルク本土から発進した模様!」
通信士「艦長、当該航宙機より入電」
ゲルベリウス「何だと?」
通信士「モニター出します!」
フルクFP『我々は、フルクファーラント"革命"軍』
ゲルベリウス「革命軍だと!?」
パイロット『貴国陸戦隊は宮中制圧を成功させた。既に国家機能は我々が掌握している。我々のIFFコードをそちらに送った。此れより我々も参戦する。』
革命軍の参戦により、敵の指揮系統は混乱。
高威力艦隊、陸海空宙の革命軍、試製航空機隊、そして潜層実験艦隊の総力を結集した奮闘により、度重なる敵増援の到着にも関わらず、強襲艦隊の戦線復帰まで持ち堪えることができたのであった。
通信士「艦長、アーヘンドラッヘより入電!モニターへ回します!」
クルーク『待たせて済まない。強襲艦隊も間もなく到着する。状況はどうか』
ゲルベリウス「第3小隊が宮中制圧を成功させたとの事で、革命派が国家機能を掌握。革命軍による我が方への増援もあり、状況は改善されました。敵増援は打ち止めの様です。」
クルーク『よしわかった。ではプランC-2に従い、挟撃体制へ移行せよ!』
ゲルベリウス「
程なくして強襲艦隊が戦線に到着、敵艦隊を挟撃。順調に敵の数を減らしていった。
シャーフ「敵が横に広がり始めたな…。閣下、UD-03からの波状攻撃を具申します。」
クルーク「03のみで対処しきれるか?」
シャーフ「無理でしょう。しかし、03の攻撃で敵対列が乱れた隙に、本艦含むアーヘン3隻とクリピテラ級の機動戦闘で可能な限りの敵を撃ち減らします。」
クルーク「いいだろう。通信士、UD-03に打電。"敵残存艦隊中枢へ波状攻撃セヨ"だ」
通信士「はっ!」
シャーフの提案によって、第3小隊収容の為待機していたUD-03による敵艦隊撹乱の為の波状攻撃が行われる事となった。
亜空間魚雷の直撃を受けた残存艦隊は、初撃で旗艦が撃沈された事もあり指揮系統が混乱。
高機動戦闘を得意とする艦艇に徐々に喰われて行った。
しかしその中でたった一隻、決してひるまず奮戦する戦艦がいたのだった_
右大将「ここで負けるわけには行かぬ…。皇国の誇りを捨てる訳には…!!」
グライフィア艦長「なかなかにしぶとい奴だ…。通信士、閣下に通信を」
通信士「は、はい」
グライフィア艦長「閣下、交戦中の戦艦がかなりのやり手でして、どうやらあの艦を中心に、連中が体制を立て直そうとしています。」
クルーク『沈められんのか?』
グライフィア艦長「可能ではあるのですが……意見具申、宜しいでしょうか?」
クルーク『聞こう』
グライフィア艦長「ワンダス艦の高圧直撃砲で、狙撃するのは如何でしょう」
クルーク『………ふむ。それで"確実に"決着がつくのだな?』
グライフィア艦長「はい。」
クルーク『……いいだろう。容赦等しないと云うことを知らしめてやれ。』
この提案は、軍人としての誇りを無為にするような、言わば"卑怯な"策であった。が同時に、敵の戦意を削ぎ落とすにはうってつけの策でもあった。
味方の損害を最小限に抑えるためにも、高圧直撃砲による狙撃こそ最善の策であると、クルークは判断したのだ。
ワンダス艦艦長「高圧直撃砲、1番2番、発射用意」
ワンダス艦砲雷長「目標、本艦射線に入った。照準良し」
ワンダス艦長「外すなよ。Fire!!」
1隻のワンダス艦から放たれた、禍々しくも美しい閃光は、見事に命中。
右大将の乗る戦艦は一瞬のうちに爆散し、強力な砲の威力を目の当たりにしたフルク残存艦隊は戦意を喪失。
白旗を掲げ降伏の発光信号を発し、海賊の襲撃から合わせて8年にも及んだ星間戦争は、カルラディア連合軍の勝利で幕を閉じたのであった__
13話に続く



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